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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第24章 対面編


夜の繁華街に建つカラオケバーは、昔ながらのパブを思わせる佇まいだ。
だが、広い店内には巨大なスクリーンが置かれ、音響も本格的なものだった。

バーテーブルの周りには客がちらほらいて、端のステージでは中年の夫婦が仲睦まじく歌っている。

あなたはそんな温かい雰囲気のバーにすっかり安心し、皆と楽しくグラスを合わせた。

「はーよかった、ノリのいい若者たちがあふれかえる店じゃなくて。ここ落ち着くねえお母さん」
「一番の若者が何言ってるのよ。でもさ、こういうクラシックなとこが一番いいのよね。曲入れるのはタブレットだけど。そこだけモダンなのね」
「本当だ、昔は紙に書いて店員に渡してたけど、便利になったなぁ」
「詳しいねヴィクトル。もしかして……歌ったことあるの?」

緊張気味に問いかけると、テーブル席にゆったり座った彼は、微笑みながら頷いた。

「うん。結構好きなんだ歌うの」
「えーっすごい! 確かにバーステーソングすごい上手かった!」
「なあにその可愛いエピソード。じゃあヴィクトル、歌ってみたら? イリスと一緒に」

母に目配せされて、ヴィクトルの目が丸くなる。
隣でタブレットを離さず曲名を入れているイリスが、ぱっと顔を上げた。

「それいいじゃない、デュエットしましょうよ」
「えっ、俺ですか? ……そうですね、挑戦してみるか」

一瞬思案したヴィクトルが乗り気になったため、あなたは愕然とする。

彼の腕をこっそり引っ張り「ほんとに大丈夫なのっ? 断っていいんだよ!」と皆に聞こえる小声で伝えた。

しかし彼は、あなたに向かってウインクする。

「大丈夫だよ。見てて名無しちゃん。君のために歌おう」
「いや相手私なんですけど」

すかさずイリスの突っ込みが入るが、あまりに真正面から彼が凛々しい顔つきで言うので、あなたはまんまと真っ赤になった。

そして大人二人は何のためらいもなく、店員に名前を呼ばれるとステージに向かった。

「ちょっ……度胸がすごすぎる……あっ、動画動画――」

あなたは衝撃を切り替えて、母とともにドキドキしながらスマホを回した。
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