第24章 対面編
それから母達がゆったり上機嫌に戻ってくる。
「ねえねえ、今イリスと話してたんだけど。もうそろそろ食事も終わっちゃうけど、まだちょっと遊びたくない?」
デザートが来そうな頃合いに、母が茶目っ気たっぷりに提案してきたので、あなたは嬉しくなった。
確かに皆の気持ちの高まりは途切れないし、二時間だけでは足りない気がする。
「いいね、ヴィクトルはどう?」
「うん、もちろん。まだまだこの四人でお話したいよね」
心から楽しんでいる表情でそう言ってくれたため、皆も乗り気で二次会へ行くことに決まった。
そして支度をしてレストランから出るとき、こんな場面が見られた。
母が先にお会計に行き、あとを追おうとしたヴィクトルはイリスに声をかけられる。
「いいのいいの。今日は私達の招待だからね、一緒にご馳走させて」
「えっ、いいんですか。でも僕もとても楽しませていただきました」
「嬉しいわーそう言ってくれて。けど今夜はまだこれからよ! 二人とも、カラオケバーなんてどうっ?」
それまでヴィクトルと一緒に恐縮して「ごちそうさま」とお辞儀していたあなたも、彼女の一言に衝撃を受けて顔を上げる。
「……えっ? カラオケバー? ちょ、むりむりむり! 私歌えないよ! 絶対無理!」
「ふふふ、知ってるわよ。別に雰囲気楽しむだけでいいんだから。ねえヴィクトルは行ったことある?」
「ありますよ」
「ええ! そうなのヴィクトル!」
「うん。ライブ感あって楽しいと思うよ。大丈夫、一緒に座って見てようか、名無しちゃん」
彼ににこっと微笑まれれば、もう行くしかない。
ヴィクトルはなんでも経験あってすごいなぁ……。
そんなふうに遠い目になりながらも、戻って来た笑顔の母も加わり、元気な大人達に連れられて、あなたは二次会へと足を運んだ。
――そこでちょっとした波乱があるとも知らずに。