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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第24章 対面編


「うん。十歳ぐらいの時かな。ニコラスさんがふざけてプールに飛び込んだらお父さんがすっごい怒ってさ。イリスさんも一緒になって謝って」
「ほんとそれよ。ステファンさんっていつも温厚なのに怒ったらすごい怖いのよね。ニコラスもビクビクしてずっとご機嫌取るようについて回ってたけど、その後は”もう俺はだめだ、嫌われた”なんて絶望しちゃって。それからはあの人の前では大人しいのなんのって」

イリスの口ぶりは少し大げさに感じたが、あなたは子供の頃の話として面白おかしく話したつもりだった。

しかしヴィクトルは、目を見開いて固まってしまったようだ。

「あっ! 別にただの笑い話であってお父さん怖くないからね! 怒らなければ」
「そうよ。脅かさないでよ名無し。ニコラス君がバカなだけだったんだから。ステファンは真面目なのよ」
「ちょっと、若気の至りってやつなんだから許してやってよ。バカなのは事実だけど」

好き勝手言う女達の掛け合いに、ヴィクトルも神妙に聞き入っている。

「なんというか、すごく勉強になる話ですね。俺も気をつけないとな」
「ははは! あなたは大丈夫よ、大人なんだから。それとも若気の至りとかあったの?」

母が悪戯っぽい眼差しで際どいことを聞くと、あなたはハラハラする。

「そんなのあるの? ヴィクトル」
「うーん、ないとは言えないな。今思えば馬鹿だろうっていうのは、三回連続でバンジージャンプしたことぐらいかな。渓谷の川の上で。なんか楽しくなっちゃってね」

彼は苦笑いしながら、とんでもないことを明かした。
女性達の驚きと悲鳴が一気にテーブルを揺らす。

「ねえちょっと! それかなりやばいよ、クレイジーだよ!」
「やっぱりそう思う? はは、体育会系の男達なんてそんなもんだよ名無しちゃん。ちなみに忘年会にいた奴ら、全員飛んだからね」

くすくすと思い出し笑いをする様子に今度はあなたが引いているが、また彼の知らない一面を垣間見た瞬間だった。
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