第23章 来客
「実は出張のとき、彼の写真をいろいろと撮ったんです。どうぞご覧ください」
「ええーっ!! ヴィクトルがいっぱいだ!! 格好いい~っ!」
あなたはすぐさま興奮して画面に前のめりになり、黄色い声を上げる。
するとヴィクトルは余裕のはずだった顔をさっと赤らめた。
「ちょっ、君そんなことをしていたのか?」
「ええ、同期のケイトから聞きましてね、名無しさんがあなたの写真をたいそう喜んでいたと。だから僕も送ろうかなって」
のほほんと告げる部下に対し、ヴィクトルは反応に困ったが、嬉しそうに写真に瞳を細めるあなたを見ていると、まあいいかという気になってくる。
「名無しちゃん、ほんとにこんなの良いの? ただ俺が何か食べたりぼうっとしたり、仕事してるシーンだよ」
「それがいいんだよ! 全部素敵だなあ〜っ。二人のときの写真と全然表情違うね。もっとクールな顔立ちっていうか」
「そりゃそうさ。君と一緒にいるのに、澄ました表情でいられるはずないでしょう。すぐにデレっとしちゃうよ、情けないけど」
人の目があるにも関わらず、二人は肩を寄せて親密に話している。
ヴィクトルの空気が一瞬で変わったのは、誰の目から見ても明らかだった。
そしてそれは、正面でゆったりと座るこの親友の瞳にも興味深く映っている。
隣に戻ってきたクリスも、その様子をしばらく一緒に見ていた。
「あいつ変わったよな」
「そうだね。よかったよね」
「ああ。幸せの真っ只中って顔してるよな。ずっと見ててもたぶん気づかないぞ」
兄の真面目な解説にクリスは肩をすくめて笑った。
身近な二人に密かに祝われていることも知らず、ヴィクトルはあなたに嬉しそうに寄り添っていた。