第23章 来客
クリスが玄関扉を開けると、そこにはピザの箱を抱えた大柄な男が立っていた。
同じ黄金色の髪をもつ屈強な体つきの男は、目を丸くしたまま固まっている。
「やあ兄貴! どう、僕変わっただろう!?」
「え……? おま、お前どうした、そんな急にあか抜けて!!」
「フフフ、名無しさんの魔法で僕は生まれ変わったのさ。さあ入りなよ、皆兄貴のことを待ってるよ」
美しくスタイリングされた髪と服装で、優雅にリビングに呼び込む。
二人目の客というのは、クリスの兄のフロリアンだったのだ。
にぎやかに入ってきた年の差の兄弟を、あなたとヴィクトルは立ち上がって迎えた。
フロリアンは白シャツにスラックスという休日の装いで、明るく手を上げて挨拶してきた。
「おお名無しさん! 元気だったかい? 会えて嬉しいよ!」
「私もです、こんにちはフロリアンさん! クリスマスぶりですね」
二人はがっちりと握手し再会を喜ぶ。
「忘年会での楽しそうな様子を皆から聞いてね。もう俺は悔しくて悔しくて。あいつら七人分の自慢が毎日この耳に呪詛のように流れ込んできて――」
「えええ、そんなに! かわいそう!」
「いや名無しちゃん、兄弟そろって大げさなやつらだからね。フロリアン、だから今日は四人で過ごせてよかっただろ?」
「ほんとそうだなヴィクトル! 名無しさん、うちのクリスが世話になったね。君は本当に凄いな。さっき弟が出てきたとき、あまりのハンサムぶりに一瞬家間違えたかと思っちゃったよ」
大口で笑うフロリアンに褒められ、あなたは嬉しさでいっぱいになる。
彼の人懐っこい笑顔で、緊張は瞬く間にほぐれていった。
「ていうかお前、特大ピザ三枚も買ってきたのか? 俺半分ぐらいしか食えないぞ」
「一枚は俺が食うんだよ。さあ皆、熱々だぞ! お腹すいただろう、早く食おう!」
「わーい!」
あなたとクリスは一緒になって喜び、揃って広い食卓についた。
なんだか空気感がさっきと変わり、大きな体のフロリアンを中心にして温まってくる。
彼は経営コンサルティング会社の社長なのだが、今日は完全に友人と家族の集まりのような雰囲気で、ゆったりくつろいでいた。