第23章 来客
「すごいです、名無しさん! これほんとに僕ですか、めちゃくちゃいい男になってるんですが!」
「わああぁほんとに素敵ですよ、すっごくお似合いです!」
「……おおっ! 本当だ、見違えたよクリス。いつもの百倍良くなったんじゃないか?」
もれなく驚愕していたのは長年の付き合いのあるヴィクトルで、彼も顎をさすりながら深く見入っていた。
「名無しちゃん、俺もここで見させてもらったけど、君の接客は本当に素晴らしいね。みるみるうちにクリスの顔が明るくなっていくのが分かったよ」
「本当? やったぁ、嬉しいなぁ。クリスさんはお洒落だからね、完成されすぎてるとこを少し引いてあげるだけでもう完璧なんだ。……って偉そうに言ってますけど、私メンズは専門外なので好みも入っちゃってます! だからクリスさんの好きな方向性を伸ばしてくださいね、それが一番大事なことですから」
自分が一番楽しめることが前提なのだと伝えると、クリスはぱっと表情を明るくして、力強く頷いた。
「大丈夫です、僕このセンスが一番好きです。きちんとしているけど大人の色気も漂うような抜け感……求めていたのはこれだったんです! あ、ちょっと写真撮っていいですか?」
「もちろんです! 私お撮りしますね」
すぐに仕事モードに戻ったあなたは、彼の姿を手早く収めたあとも何着か普段用、仕事用、ゆったりデート用などコーディネートした。
すっかり板についたクリスは、知識が入れば順応するのが早い。
受け身ではなく、あなたと話し合いながらファッション性を深めていった。
「ああ……自分が変わっていくのが手に取るようにわかります。僕はもう前の僕じゃありません、明日からモテますよ!」
「気が早いな。君ね、その髪型もどうにかしたほうがいいんじゃないか。せっかく見事な金髪なんだから」
ヴィクトルが食卓の椅子に足を組んで座り、普段は口を出さない点にずばりと切り込む。
するとあなたもじっとクリスの全体像を見て、おもむろに頷いた。
「やっぱ変ですか? この横分け。でもずっとこれだからなぁ。今さらどうすればいいんだろう」
「ええっと、ちょっといいですか? こうしたらもっと――」
うずうずしながら、目線がそう遠くない彼の金髪に指を伸ばす。
助言をし整えてもらおうとするも、クリスも得意ではないようだった。