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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


その後葉巻を勧められたヴィクトルは、ひじ掛けに腕を置いてゆったりと味わう。

隣のクリスも倣おうとするも、時折むせていた。

「……ふう。まず手始めに、俺も君のことを知りたい。こう言っちゃなんだが、前回会ったときと少し変わったよな」
「分かりますか」
「そうさ。おたくにとっては数あるクライアントのひとつかもしれんがな、こっちはコンサルとの付き合いを重要視してるんだ。六年の付き合いを舐めるなよ」

男二人は不敵な笑み同士で見つめ合った。

「それで、君を変えた女性というのは、どんな人なんだ?」

真向からの質問に対し、ヴィクトルは高揚感をにじませながら、ゆっくりと語り出す。

クリスはそんな上司を生温かい眼差しで見守っていた。

「わかったわかった。君がその子にぞっこんだというのは。彼はいつもこうなのか?」
「はい。最近はこうですね」

部下に答えられても、社長はまだ疑り深い目つきをしている。
彼は煙を長く吐いたあと、独り言のように呟いた。

「まあな。女性という存在は、男にとって大事だ。人生を変えるほどの力をもつ」

彼の静かな語り口に、ヴィクトルも頷く。

それからイゴールがつらつらと聞かせたのは、自身の妻についての話だった。25歳年下の美人で自称元モデルの女性だ。

「最初はささやかな化粧品類だった。彼女にこれが欲しいとねだられてな。俺も上機嫌に、なんだそんなこまごまとしたもの、いくらでも買ってやる、そう笑っていた。――すると数か月後には、月に四百万美容に費やしていた。まあ驚きはしたが、俺の財力なら問題ない範囲だ。君はどうだ、ヴィクトル」
「四百万ですか……少し考える金額ですね」
「そうだろう。美容だけでそれだからな。極上の女でいることはさらに金がかかる」

ヴィクトルは内心そこには同意しなかった。
あなたという存在は、特別なことをしなくとも確固とした価値があるからだ。

「それから彼女は俺に、やれ旅行だの外車だの、国外の別荘や庭園だの、様々なものを要求してきた」

話を真面目に聞いていたクリスが、あっと驚く。
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