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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


「どうだヴィクトル、うちの自慢のモデルたちは。気に入った子がいたらゆっくり過ごしてくれてもいいんだぞ」
「とんでもありませんよ。お話するだけで十分です」
「話すだけで十分だと? そんな男がどこにいるんだ! 君は以前もっとノリがよかったじゃないか、まあガードは常に固ったが――」

社長が腕組みしてうなる。彼は毎回ヴィクトルを引きずり込もうとして敵わないため、今回も諦めきれないようだ。

「……楽しく飲んでくれるのは嬉しいが、もう六年目の付き合いになるのに、俺はまだ本当の君を見せてもらっていない気がするんだよな」

彼がしゃがれた声のトーンを低く落としたことに、ヴィクトル達は気づいていた。
とくにクリスは焦った様子で上司を確認している。

しかしヴィクトルは社長に対し、申し訳なさそうに笑みを向けた。

「そうですか? 困ったな。あなたの前でも私は私ですよ」
「本当かい。ならばもっと男と男の付き合いが出来るはずじゃないか? なあ」

社長は強い酒を飲み干し、にやりと圧を強める。
ヴィクトルはそんな彼に思案した後、やがてグラスを置いて顔を上げた。

「ええ、出来るでしょうね」
「……えぇっ!? あの、部長っ?」

近くのクリスが一番驚き、視線で必死にメッセージを送る。
しかし経験豊かな壮年男二人の間には、若手の部下は入り込めないのだ。

「ははは! そうか、やっと分かってくれたか! じゃあどの子がいい? 俺のオススメは一見大人しそうなブルネットのギャルなんだが」
「いえいえ、そちらは大丈夫です」

また希望を砕かれた社長が恨めし気に彼を見て、腕組みを強めた。

「あのな……俺達の求めるものが違うなら、話は難しくなるぞ。君は俺とどう関わりたいんだ」
「私は――イゴール。あなたのことをもっと知ってみたいです」

動じることなく膝の上で指を組んだヴィクトルは、まっさらな表情で彼に告げた。

社長はぴくりと眉を上げ、真意を探ろうとする。
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