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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


「そういえば君、結婚したんだって?」
「いえ、婚約です。気は急いていますけれどね」
「そうかそうか。君もようやく俺達既婚者の世知辛い世界に足を突っ込んだな!」

歯を見せて笑いかけられ、ヴィクトルは苦笑する。
すると社長が内緒話をするように背を丸め、顔を寄せてきた。

「君のメールに驚いたよ。そういう事情があるから、華やかすぎる場は遠慮したいと。なーにを言ってるんだ! 俺はその実直なフリした言葉を、言葉通りフリだと受け取った。ほんとは遊びたいんだろ? 君は俺にそう頼んでいたんだ。出張先という羽目を外せる場でな!」
「え? いやフリじゃないですよ。本音だったんですが。イゴール、まさかここに誰か――」

嫌な予感がしたヴィクトルがふと扉を見やった。

すると社長の部下がすでに待機していて、若くすらっとした女性達をぞろぞろと迎え入れる。金髪二人にブルネット二人の美女軍団だ。

目を引くミニスカートにハイヒールを履き、「こんばんはぁ~」と猫なで声で挨拶してくる。

「あっ、どうしましょうかヴィクトル。ものすごい美人がやってきますよ。仕方ないですね。ここは僕にお任せください」

腕の見せ所だとスーツを正すクリスだが、髪色の異なる二人はすぐにヴィクトルを挟むように座った。
彼に笑顔でお酌をし、逃さないといった雰囲気である。

一瞬白けたクリスだが、もう一人は自分の隣で喋り始めてくれたので彼もスピーディーに対応する。

これはビジネスの一環だ。だからヴィクトルが微笑みを崩すことはなかった。

「今日来てよかったあ~こんなに素敵なお兄さんに出会えるなんて。彼女何人いるんですか?」
「一人ですよ」
「ええーっもったいない! 私も二人目にしてほしいな♡ 現地彼女でいいから♡」
「それは難しいな。一人って決めてるんです」

困り笑顔で相変わらず綺麗に飲む彼は、目線や話す仕草もどことなく距離がある。

社長はそんな様子をしばらくじっと眺めていた。
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