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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


出張11日目に入ったヴィクトルは、最後の国クロアチアにいた。
ここは東欧最初の開拓地であり、創設六年目となる支社がある。

最も付き合いの長いクライアントとの面談を昨日終え、今日は社長との会合だ。

「おい君。ちょっと匂いが強いんじゃないか」
「そうですか? これ気に入ったんです。あなたもいい香りじゃないですか、いつもと違う感じですね」

高層商業ビルのエレベーター内で、スーツとネクタイをびしっと決めた上司と部下が横並ぶ。
クリスが鼻を効かせると、ヴィクトルは「お守りだよ」と優雅な笑みを見せた。

最上階の高級レストランバーに足を踏み入れれば、にこやかな店員に案内される。

VIP専用の個室では、すでに社長と部下の一人が酒を飲み、上機嫌で待っていた。

「お待たせしてすみません、イゴール」
「いいや先に来て一杯やってたんだよ。昨日の契約延長が無事決まって嬉しくてな」
「ええ。引き続きお力になれるのは光栄です。前回お会いした際は、奥様もご一緒でしたが、お元気ですか」
「ああ、ああ。元気だよ! 君の大ファンになってただろ、今日もここに来るのを抑えるのに必死だったんだ」

彼の豪快な笑い声が響き、皆も笑顔になる。

「さあ乾杯だ、ヴィクトル。君も座ってくれクリス」
「ありがとうございます」

二人は大理石のテーブルをはさんだ正面のソファ席へ腰を下ろした。
高級シャンパンでグラスを掲げ、ムードのある照明の下、男四人で話し込む。

「俺の会社が周辺諸国でここまで発展したのも、ソルヴェンテ社の支援のおかげだ。来年以降は南欧進出も視野に入れている。君達のテリトリーだな。よろしく頼むよ」
「もちろんです。市場調査と現地パートナーの選定は進めています。状況を見て、最適なタイミングで広げていきましょう」

イゴールは衣料品メーカーを一代で築いた社長で、ヴィクトルの一回り上の50代だ。

筋肉質な褐色の腕がポロシャツから伸び、塗り固めた金髪に青い瞳の若々しい男だった。

彼はビジネスの上では豪腕で信頼のおけるパートナーだが、私生活ではやや大胆すぎる性質があった。
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