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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


『本当? 嬉しいけど、俺はもっと君のそばにいなきゃダメだな。心配になってきた。忘れられたくないよ』
「大丈夫大丈夫、絶対忘れないよ。だって毎日……考えてるもん」

あなたはようやく照れる余裕が生まれ、カメラの前で小さくはにかむ。
その姿を見たヴィクトルも、ほっと安堵に包まれ、穏やかな笑みを浮かべた。

『それは嬉しいな。俺も同じだからさ。ずっと君のことが頭から離れなくてね』
「本当…? 仕事は大丈夫?」
『ははっ、平気だよ。もう慣れてるから。大切なお守りもあるしね』

彼が指輪を見つめ目配せしたため、あなたも嬉しくなる。それにこんなことも付け加えられた。

『ほら見て、これも財布に入れてるんだ』
「……ええ! ちょっ、それ私の写真っ? 何してるのヴィクトル! 誰かに見られちゃうよっ」
『見られてもいいだろう? 今日なんて俺、店員に君の写真見せたよ』
「はぁっ? 何それどういう状況っ?」

あなたが素で聞き返すと彼は笑っていたが、「いやなんでもない。忘れてね、帰ったら話すよ」とごまかされ、首を傾げる。

そして気づいたら、いつもの調子で楽しく会話していて、もう最初の緊張は薄れ、温かい愛情だけが二人の間を漂っていた。

「まあいいか。ヴィクトルが元気そうで安心したな。えっと、じゃあ今日はお休みだったんだよね」
『そうなんだ。クリスと観光したんだけど、まあいつもの感じだよ。イレギュラーがないのは良いことだけど』

苦笑している姿を前に、あなたはふと思ってしまった。
――たとえばどんな事をしていたんだろう、と。

でもいちいち聞いたら怪しいかもしれない。
でも、気軽に「ふーん何してたの?」と笑顔で聞けばよかったのかもしれない。

そんなことを一瞬のうちにぐるぐると考えていた。

『……んっ? また考え事してるように見えるな。もしかして疲れてるんじゃない?』
「ううん、すごい元気だよ」

せっかくの久々の二人の時間に、こんなことを考えてしまってる自分が嫌になる。

しかしヴィクトルはなんでも話してと、前に言ってくれた。

だからそれを信じて、甘えてもいいのかな。
そう思うまでに、こういうとき中々気持ちを表せない自分は、より多くの勇気を要した。
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