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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


「これでも自信がついたほうなんです。あなたに飲みに連れて行ってもらって」
「ああ、わかるよ。女性への耐性は上がったよな。進歩したじゃないか」
「僕もそう思います。でも、ああいう賑やかな人達とは話せるようになりましたが、これって役に立ってるんですかね。ヴィクトルやマックスのように、女性に好かれるようになるのは、もっとハードルが高い気がして……」

クリスがいつもより深い部分の話をすると、ヴィクトルも彼が気になった様子だった。

「俺はともかく、マックスは参考にするなよ。あいつの真似ができるのはあいつだけだ」

そっと小声で囁くとクリスはけらけらと笑う。

「そうですけど、やっぱり自信があって堂々とした男性のほうが、一般的にはモテますよね」
「どうだろうねえ。君は自信のある自分を好きになってほしいのかい?」
「えっ?」

ふとヴィクトルが尋ねた言葉に、クリスは立ち止まった。

「クリス。君は相手に、どんな自分を好きになってほしいと思う?」

穏やかな表情でそう続けられて、気持ちも少し止めて考えてみる。
それは今まであまり考えたことのない問いだった。

「ええと……僕は優しくて正直で、思いやりがあって……相手の気持ちをいつもきちんと考える自分を、好きになってほしいですかね」

言いながら気恥ずかしくなってきたが、その真剣さをヴィクトルは自然に受け取っていた。

「それでいいんだよ。今言ったやつ、それが皆が君に抱いてる”君”だ。何か違うものになろうとする必要なんてないんだからな。俺もそんな君が好きだぞ。自信もてよ」

隣から、彼が普段兄にやるように肩を抱いてきて、屈託なくにっと笑い、顔をのぞきこむ。

クリスは初めてヴィクトルから男として対等に扱われた感覚がした。
感動で瞳がうっすらと温まってくる。

「……ヴィクトル。あなた、僕を泣かせようとしてます……? って結局自信じゃないですか!」
「照れるなよ。男が恥ずかしがってもな、喜ぶのは恋人だけだぞ。俺にやるんじゃない」

軽口をたたいたヴィクトルは、今日ぐらいは部下という垣根を越えて、クリスをねぎらったのだった。
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