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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


「やっぱり僕がモテないのって、服装のせいなんでしょうか」
「そんなことはないと思うけどな。少し過剰なだけで」

旧市街を観光したあと、二人は喫茶店に入った。

男二人で居座るには不釣り合いなほどの、情緒あるアンティーク調の空間だ。
遠くでは教会の鐘が響き、リラックス効果もある。

正面に座るヴィクトルは、この日も代わり映えのしない恋愛相談を聞いてやっていた。

「そうだ、あなたに僕の全身コーディネートをお願いできませんか? センス完璧ですし」
「いやだよ面倒くさい」
「冷たいなあ。あっじゃあ名無しさんにお願いしてみようかな」
「あのなぁ。彼女の仕事を増やすんじゃないよ」

コーヒーを啜った上司にそうたしなめられると、一瞬残念がったクリスも切り替えて納得をする。

「ではアドバイスぐらいなら頂けますかね?」
「まあ、そのぐらいなら聞いてくれるんじゃないか。名無しちゃん優しいしな」

そう微笑みをこぼす年長者に対し、クリスは自分の幸運を祝うような表情を浮かべた。

ヴィクトルは軽くため息をつきながらも、なんだかんだこの若者を放っておけないのだ。

親友に任されていることもあり、昔は奥手で恥ずかしがり屋だったクリスの変化を身近で見てきたからだ。

彼は勉強を重ねて同社に新入社員として加わり、今や大型プロジェクトの契約を任されるまでに成長した。

その変遷で性格はやや大仰な感じになってしまったが、兄同様に心根が優しく良い奴だというのは、ヴィクトル自身がよく知っていた。

「このあとどうしますか? 夕食がてらバーでも行きますか」
「ああ。だがその前に寄りたいところがあるんだ。君は違う場所で待っててもいいぞ」
「嫌ですよ、あなたが自主的になんて珍しいですね。興味があります」

瞳を光らせたクリスにその場はおごらせ、二人は別の店へと向かった。
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