第22章 出張編
「今日はさ、私絶対買うわよ。ホームページで予め見てきたから。でもね、私の骨格がさ、結構たくましくて合う服探すの難しいんだよね。どうしよう名無しさん」
「ちょっと先輩、早々に考えるの放棄しないでくださいよ~。名無しさんが困るでしょ」
「大丈夫ですよ、マグダさんは長身で足がすらっと長くて、スタイルがものすごく良いんです。あと普段は綺麗めを着ることが多いけど、フェミニンな雰囲気のものも試したいとおっしゃってましたよね。私何着かピックアップしてみたんです、ご覧になりますか? もちろんケイトさん好みのハードめのアイテムもありますので持ってきますよ」
「マジですか、見る見る!」
「わっ、ありがとう!」
目を輝かせた二人の声が色めきだつ。
この間のクリスマス会でお喋りをした時に、彼女達からいろいろと聞いていたおかげで準備ができていた。
最初にケーキ店で会った際の服装やクリスマス会のドレスアップから、参考になったのだ。
二階のゆったりした試着ルームでフィッティングを終えた頃には、このブティックの虜となっているようだった。
そして数十分経つと、二人の腕にはいくつかの紙袋が下げられ、表情もほくほくして満足顔だ。
「もうこんなに可愛い服に出会えると思わなかった。私にあんなに似合うワンピースドレスあるなんてさ。予定より買っちゃったわよ。ねえケイト、あなたも珍しく私に対して賞賛の嵐だったね」
「うん。そうですよ先輩。だってめっちゃ可愛かったです、女の子って感じで。今までの服全部捨てたほうがいいですよ。あとメイクも変えましょう」
「あんたねえ! そこまで言うことないでしょ!」
二人のいつもの仲の良さに、あなたは会計をしながら笑っていた。
ケイトもお気に入りの黒革ジャケットと鞄を見つけ、誇らしげに袋を抱えている。
店のスタッフという以前に、あなた自身が大好きなテイストの服を紹介できたことが、本当に嬉しく思えた日だった。