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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第22章 出張編


確かに広々として格式があり、家具や装飾の隅々まで手入れの行き届いた部屋だ。
あなたと出会ったときに連れてきた部屋より、さらにグレードが高い。

仕事でホテルへ泊まると、自然とあなたとの日々を思い出した。
そしてやや感傷に浸るのだ。今は一人でいることに。

「ああ、なんだか頭が冷えてきたよ。さあ仕事だぞクリス。緊張感を持って挑もう。現地社員も待ってるからね」
「はい! 任せてください部長!」

調子のいい彼にわざとらしく呼ばれ、ヴィクトルは仕事モードの大人びた表情でふっと笑った。





まだ創立三年のオフィスの社員らは、ヴィクトル達を温かく迎えてくれた。
若手中心の彼らの熱心な仕事ぶりと活気を見るたび、成長を感じて嬉しくなるものだ。

だが今回のような大口契約は、資金や信用、条件などあらゆる面で確認が必要であり、本社の承認は不可欠だった。

初日の夜には現地マネージャーらと食事をし、話を詰めることもできた。

そして翌日、もともと密に連絡を取り合い計画を進めてきた責任者のクリスは、周囲の期待通り、滞りなく面談を終えることが出来たのだった。

「うまくいきそうですね、クリスさん。あの現場をしきる老舗オーナーの質問攻めに、よく耐えたと思いますよ」
「ええ、ありがとうございます。彼女の仕事に対する勤勉さを、こちらも調べ尽くしましたから。あなた方の土台調査が素晴らしかったんですよ」

社屋から出て興奮気味に話す二人のことを、ヴィクトルも満足げに見つめている。

「そうだね。今回は製造業の昔気質の経営者だったから、もう少し難航するかと思ったんだけどな。一日目であそこまでまとまったのは、かなりの成果だ。予定通り明日の施設視察のあとは、契約締結までいくだろう。よくやったね二人とも。クリス、君のプレゼンも見事だったよ」
「……ありがとうございます!」

クリスは目を輝かせ、ほっとした表情で頷いた。
自信に満ちてはいたが、昨日からやけに口数が多かったし、彼なりに緊張はしていたのだろう。

ヴィクトルは帰り道、手短にフロリアンに報告メールを打つ。弟の手応えを社長もきっと喜ぶだろうと口元を上げた。
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