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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第21章 お返し


年が明けて、街も生活もすっかり日常に戻っていた。
あなたにとってはヴィクトルの出張まで残り数日となり、気持ちは慌ただしい。

けれど問題は彼のほうで、日に日にため息が増え、あなたに近く寄り添って過ごすことが多くなった。

「ああ、行きたくない」
「ちょっとヴィクトル。大丈夫?」
「大丈夫に見えるかい」

あなたがくすりと笑ってしまいそうな顔で首を振ると、彼は感情に押され、また腕を伸ばして抱きしめてくる。

高級マンションの丸い白ソファで、最近は会うたびにずっとくっついていた。

「自分がこんなに情けない男だとはね。きっと君も呆れてるだろう」
「ううん。可愛いよ。……ふふっ」
「余裕だなぁ名無しちゃんは。俺はこれほど寂しいというのに」

確かにヴィクトルが愚痴をこぼし、完璧でない姿を晒すのは珍しい。
だからこそ、なんだか親近感がわいて愛しい想いがつのってくるのだ。

「じゃあしょうがないなぁ。ずっと寂しがってるヴィクトルに、私から――」

あなたは突然彼に笑顔を向け、なにかを言おうとした。

もちろん自分だって彼としばらく会えないのは痛恨の極みだ。
だが今日ずっとポケットに忍ばせていた特別な品をプレゼントすれば、彼も元気が出るかもしれない。

そしてそれは、離れていても絆をいっそう強めるスペシャルアイテムになってくれるだろう。
――そんなふうに考えていたのだが。

「ん? どうしたの名無しちゃん。止まっちゃった?」

彼にきょとんとした顔つきで見つめられて、あなたは静止した。
よくよく考えてみれば、ここは素晴らしい家だが、今気軽に渡す場面ではないのではないか。

「いやっ……えっと…っ」

ヴィクトルの優美な瞳に微笑まれるうちに、さあっと現実に返ってきた。
あなたは立ち上がり、右往左往し始める。

「……そうだ! どこか、ええと、レストラン行こう! そうしよう!」
「えっ? デリバリー取るんだと思ったけど、そのほうがいいかな」
「うん! 待って、今調べるから――」

急な方向転換でスマホを取り出し、休日に飛び込めそうなお洒落めレストランを探すが、すぐ見つかるわけがない。
焦っているとヴィクトルがあなたの頬に割り込むようにキスをした。
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