第20章 大晦日
翌日、あなたはベッドのサイドテーブルにあるスマホに手を伸ばした。
「ううう゛……今何時……えっ……もう昼過ぎてる……」
かすれたうなり声をあげて目を擦る。
その時、部屋がいつもより落ち着いたモノトーンの風景なことに気づいた。
「あっ……!!」
ここはヴィクトルの家の寝室だ。
ゆっくりと半身をひねらせると、まだ彼が平穏に眠っている。
昨日の酔って休んでいる姿を思い出し、自然と顔が緩んだ。
「こんな時間まで寝ちゃってるの、めずらしい……かわいい」
彼の寝顔が最近自分の中でヒットしており、しばらく微笑み眺めていた。
だがそんなことをしてる時間はない。
あなたは急いで起き上がり、洗面所へ向かおうとした。
恐ろしいことに、ランジェリーすらつけていない裸だったのだ。
床に落ちた服を拾おうとしたところ、手首をそっと伸びてきた手に握られた。
「わああッ」
「ごめん……俺はいつも君のつぶやきで起きるみたいだ」
笑いをこらえた様子で告げられ、あなたはとっさに顔と体を布団で隠して振り向いた。
「おはようヴィクトル」
「おはよう名無しちゃん。どうして隠してるの?」
彼がゆったりと筋肉質な裸体を起こそうとしたので、あなたは余計に顔を覆った。
「ひどい顔なの! 昨日飲みすぎたし!」
「見せて……全然大丈夫。とっても可愛いよ」
シーツの上にあぐらをかいた後、彼は優しい顔でのぞき込んでくる。
あなたは赤く染まりながらも、もうその言葉を信じることにした。
「ごめんヴィクトル……昨日⋯⋯やばかったよね」
「ああ……皆が帰ってからのこと?」
やっぱりそうなのだと卒倒しそうになりつつ、あなたは小さく頷く。
すると彼はおもむろに首を振った。
「確かにすごかったけどね。……ああ、すごかった。君は……」
「何が!?」
「覚えてないのかい。悲しいな」
くすくすと笑う彼の胸が広い腕とともに開かれたから、あなたは吸い込まれるように寄りかかる。