第19章 忘年会編
「あっ違いますよ! 今のはマックス限定のことですから! 間違っても一般論ではありません、僕も好んで行きますし!」
皆に気を使われるほど、あなたは少しずつ焦っていく。
でも本当は、心からの心配はしていなかった。なぜならおかしなことは何も起こり得ないからだ。
「ヴィクトル、大丈夫大丈夫。怪しいクラブじゃないし、ただひやかしに行って飲んでるだけなんだ。そういう少し陰気なグループなんだ、うちらは」
「⋯そうなの? そんなことないと思うけどな。こんなに可愛い子がいるのに?」
その言い方が面白かったのか、彼はくすりと笑ってあなたを照れさせる。
「よっしゃ、じゃあ今度の飲み会は俺のテリトリーのクラブにするか! ここにいる奴ら全員奢ってやる!」
「あのなぁマックス。今俺は真面目な話をしてるんだから少し静かにしろ」
「心配性だなぁ〜お前も。いいじゃねえかよそんぐらい、若い女の子も時々ハメはずしたくなるって、なあ名無しさん!」
「いや外しませんよ!」
条件反射的なツッコミに皆がウケてくれたので、あなたもひとまず安心したのだが。
ヴィクトルのことだけが気になる。でも自分はちょっとずるいのかもしれない。
彼に気にされたり、少し嫉妬のようなものを感じると、自分のことをそれだけ思ってくれているんだなと考えてしまうのだ。
「へへっ、大丈夫だよ。セリアちゃんもいるし。他の皆もしっかり者だから」
「うん。想像できるよ。でもあれだよ、何かあったらすぐに俺を呼ぶんだよ。いいね名無しちゃん」
「うんっ」
あなたはヴィクトルに問答無用で腕の中に閉じ込められ、顔を緩ませて身を委ねる。
その場には皆もいるけど気にならなかった。
彼がそうしてくれてるように、あなたが持つ彼への愛と忠誠も揺るぎないものだと、この胸が分かっているのだ。
「はいはい皆さん、うまくまとまってきたところでこっちに注目!」
「なんですかミロ。もう試合はいいですから。あなたも空気読んでくださいよ、人事部長でしょう」
「読んでるって! だからな、今から二人の婚約を祝して、乾杯するぞー!」
彼は騒がしい中でもすでにテーブルにシャンパングラスを並べ、準備してくれてたらしい。