第19章 忘年会編
とくにマックスやミロなど、ノリの良い人達と陽気に会話をしながら、好きな南米ワインも口に運ぶ。
「おや、名無しさんもそれお気に入りですか? エリオ、彼女も僕達の上品クラブに勧誘しましょうか」
「はは、なんだいそのネーミング。でもいいね。味わいを語り合える人なら大歓迎だよ」
「わーいやったー、もちろんお喋りになっちゃいますよ! 白のチリワインが特に好きなんです!」
あなたはクリスとエリオの間ではしゃぎながらも、結構自分が酔ってきていると頭の中で自覚していた。
それはもちろん、この男もである。
「大丈夫? 君がそんなに飲んでるところ初めて見たよ。無理してない?」
「ぜんっぜん。私もこんな風になるの珍しいよ。でも全然酔ってないから大丈夫だよ」
気遣ってくれるヴィクトルの肩にこっそりしなだれかかり、意図せぬ上目遣いで見上げる。
彼は明らかに「ん? まずいぞ」と本能的な何かを感じ取ったようだった。
「ねえねえヴィクトルはもう酔ってないの?」
「うん。君に会えたから目が覚めちゃったんだ。だって酔っぱらってたら支えられないでしょ?」
短くウインクされて、あなたは彼の周りに煌めきが見え、ふわっとときめいていく。
「だから名無しちゃんは少しぐらいなら酔っても大丈夫だからね。俺がいるから」
「へへっ。ありがとう。まだまだふつーだけどね。人がいっぱいいたりすると酔っちゃうんだぁ」
完全にリラックスしたあなたは彼の腕に絡まって話した。
「え? 人がいるとこは酔いやすいの?」
「楽しいときだけね」
あなたはさらりと答えたが、少し眉を下げた顔がのぞきこんでくる。その顔を見ていたら、愛おしさが爆発しそうになった。
「それは嬉しいけど⋯⋯心配だな」
「どうして?」
「だって⋯⋯こうやって無防備になっちゃうってことでしょう?」
尋ねられ、あなたはくすくすと楽しそうに笑う。
そのからかう様な、普段とは違う奔放で色めいた表情はよけいに彼をやきもきさせた。