第19章 忘年会編
「ヴィクトル、私と同い年ぐらい?」
「そうだね。23だから近いね。なんか照れるな。若すぎだろ俺」
彼は余裕な感じではあったが、内心ドギマギしている表情でもあった。
そんな今との比較が、なおさらあなたの心を和ませる。
「どう名無しちゃん。やっぱり若いほうがいい?」
「えっ! 違うよ、そんなことないって! 確かにものすごく格好いいけど、私は今のヴィクトルが一番好きだよ」
皆がいる時に何をへらっと明かしてるのかと思ったが、試合が佳境に近づいて誰も聞いてない。
だからあなたはソファで隣にいるヴィクトルに微笑んで伝えた。
「名無しちゃん⋯⋯!」
彼はまだ酔ってるのか、感激の面持ちで腰にそっと手を回し、頬に一瞬だけキスをした。
「わあっ。興奮しすぎだよ!」
「ごめんごめん。ほっとして」
くすくす笑うヴィクトルが可愛らしい。あなたはまたテレビを見やり、青年真っ只中の凛々しい彼を目に映す。
すると、なんとヴィクトルのボートチームは1位で通過していた。
「えーっ!! すごい! 勝っちゃったよ! 優勝だぁー!」
「いや名無しさん、これ準決勝だから。ふっふっふ、でももちろん決勝のビデオもあるよ。見る?」
「見たいです!」
得意げなミロに身を乗り出して答えると、皆は大きく笑っていた。セリアもエリックも試合に引き込まれ、続きも大盛り上がりで視聴する。
過去の映像で結果もメンバーは分かりきっているのに、彼らにとってもこうして新しい人々と見るのは新鮮だったようだ。
「あーっ! 負けたぁ⋯! なんで⋯⋯もうちょっとだったのに!」
「ちょ、ちょっと名無しちゃん。本気で怒ってるね。ごめんね負けちゃって」
「い、いやそういうわけじゃなくて。だってあんなに頑張ったのに! 悔しいよ〜! ねえセリアちゃん!」
「ホントだよ! むかつくあのチーム! ほら名無し、やけ酒の乾杯しよう!」
「うん!」
あなたは親友のやり口に乗せられ、ぐびぐびと酒を飲む。それはビールよりも度数のあるワインである。
ヴィクトルはもちろん隣で寄り添ってくれていたし、皆と同様に、あなたが本気になって試合を観てくれて嬉しそうだった。