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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第19章 忘年会編


ヴィクトルが起きてきてから、忘年会は一段と賑やかになった。
彼はセリアやエリックの来訪も心から歓迎してくれていて、その様子にあなたも自然と頬がゆるむ。

「俺のケーキだけ大きくしてくれるなんて、お前らいい奴じゃないか。はっはっは! 本当に美味しいよ、差し入れありがとうねセリアさん、名無しちゃん。エリック、君の魚は速攻で食べられちゃったね。あぁ一足遅かったな」
「また持ってきますよ。レストランでも同じ物をご用意出来ますから、ぜひ皆さん来てください」

彼が眼鏡の奥で微笑むと、真面目に見えて商魂たくましいなと皆から褒められていた。

アンドレイの抹茶も思いのほか好評で、甘いものに合うと皆楽しそうに飲み干していた。

こうして思いがけない交流が生まれていくのが、あなたは嬉しかった。
まだ来たばかりなのに、ここに来て本当によかったと思い始めていたのだ。

「よし、じゃあ全員そろったところで若者達に見て欲しいものがあるんだよね」

ミロがそう突然リモコンを取り出したところで、いつもならば仲間から「もういいよ」とヤジが飛ぶのだが。

「おっ、まさか名無しさんに昔のヴィクトル見せんのか? ははは! おもしれー! どんな反応すんだろ」
「え? え? なんのこと?」

マックスが膝を叩き、あなたは隣で苦笑するヴィクトルを見やる。するとあっという間にテレビの大画面に試合風景が映された。

それは特別映像で、全国大学生ボート大会準決勝のテレビ中継だった。

十五年以上前のもので映像は少し粗いが、晴天の中八つのチームが大きな川で横並びになり、まさに全力でオールを漕いでいる。

「え、すご! これ皆さんなの? 若っ! 皆ムッキムキだなぁ〜!」

楽しそうに反応するセリアとともに、皆も誇らしげな気持ちで歓声を上げる。

あなたはまじまじとその映像に釘付けになっていた。
ズームアップされたカメラ内に、すぐにヴィクトルを見つける。

彼は今よりも短い黒髪で、最後尾のフロリアンの前にいる。ノースリーブから伸びる力強く長い腕を動かし、ボートを前に前に漕いでいる。

「ヴィクトル、格好いい⋯⋯!」

あなたは感動で胸がいっぱいになっていた。
先頭のミロの指揮により、チームで一丸となってゴールを目指す皆の姿。そしてなにより、在りし日の輝かしい彼の姿が。

尊敬と憧れの瞳で彼を振り返る。
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