第19章 忘年会編
「よかった〜、内緒で来ちゃったから大丈夫かなって思ったんだ。皆さんも歓迎してくれたよ」
「そりゃそうだよ。君は大人気なんだからね、名無しちゃん」
細めた瞳に見つめられ照れてしまうが、そんな2人に構わずアンドレイは配膳をしてくれていた。
「アンドレイ、彼女と抹茶を入れたのか」
「ああ。お前は寝ていたからな。抹茶の話が合ったぞ」
そうシンプルに報告されてヴィクトルは朗らかに笑った。
「本当かい? 君も抹茶好きなの? 知らなかったよ」
「はは。ヴィクトルが好きか分からなかったから。好みが分かれるんだよね。あ、アンドレイさんがいいお店も教えてくれたんだよ!」
「本当? それはよかった。じゃあ今度一緒に行こうか」
「うん!」
あなたは彼の周りで嬉しそうに答えたが、じっと音もなくアンドレイが立っているのに気づく。
「あっ⋯⋯今のすごい子供っぽかったですよね、恥ずかしい、あんまり見ないでください⋯」
「⋯⋯俺に言っているのか。別に何も思っていない。だが、君はヴィクトルの前だともっと無邪気だな。名無し」
「⋯⋯そ、そうですかっ?」
赤くなってしまうと、隣のヴィクトルは嬉しそうに声を出して笑っていた。
普段あまり感想を言わないアンドレイの言葉なのが、よけいに彼にとって真実味を帯びていたのだろう。
「おっ、ヴィクトル起きたのか! 早くこっち来いよ、つうかお前俺に感謝しろよ! お前が寂しい寂しい言うから名無しさん呼んでやったんだぞ!」
「⋯⋯おい。俺を幼児みたいに言うな。まあ確かにかなりびっくりはしたが、お前でも善行をすることがあるんだなマックス。ありがとう」
ヴィクトルは普段仲間の前ではしない美しい笑みを浮かべ、それを間近で見たあなたは笑いをこらえた。
「ほら言っただろクリス! 俺の勝ちな、今度酒おごれよ!」
「えぇ⋯⋯分かりましたよ。はぁ、僕はヴィクトルの愛を甘く見てましたね。この人結果良ければなんでもいいんじゃないか⋯?」
1人でぶつぶつ分析するクリスを尻目に、皆はすでに甘いものを楽しんでいる。
あなたとヴィクトルも、微笑みを見合わせて輪の中に加わったのだった。