第19章 忘年会編
12月30日の夜、予期せぬことが起きた。
ヴィクトルの家で会社の忘年会が行われる中、同僚のマックスから突然あなたも来ないかと誘われたのだ。
そうして今は高級マンションの玄関前で、鼓動を抑えるように立っている。
「ああ、緊張してきたよ⋯⋯皆もう中にいるんだよね。私の格好変じゃない?」
「ぜーんぜん! 可愛い名無し〜。早く入ろうよ〜へへへへ」
体をくねらせて腕にまきつく親友セリアを見やり、口元がひくつく。
心配の種は仲間内の会に飛び込むことだけでなく、この酔っ払いもだった。
「⋯⋯セリアちゃんっ、頼むから行儀よくね! エリックさんも彼女のことよろしくお願いね!」
「うん、わかったよ名無しさん。僕がきちんと掴んでるからね」
黒髪眼鏡の穏やかなセリアの彼は、自分達より4つ上の頼れる男性でもある。
まだ付き合いは浅いが、今日の三人のお食事会でもっと打ち解けることが出来ていた。
「よし、いくよっ。⋯⋯あっ、お邪魔しまーす」
「おっ!! 名無しさん達来たぞ、お前ら! そこちゃんと片付けろ!」
号令のように叫ばれ目を見張ると、廊下の奥からド派手なシャツの金髪マックスが現れた。
彼は優雅に手を広げ三人を歓迎する。
「やあやあ名無しさん、急に呼んですまないね。また会えて嬉しいよ」
「私もです、こんばんわ!」
笑顔で握手を交わした彼はセリアとエリックにも熱い歓迎をしてくれた。
ドキドキしながらリビングへ向かうと、立ち上がって迎える四人の男性達がいて、スーツ姿ではなく普段着にも関わらず、堂々としたオーラに圧倒される。
「皆さんお久しぶりです! 今日は途中からお誘いを頂きありがとうございます、お邪魔します!」
「いやいや名無しさん、ここもう君達2人の家だよね? 邪魔してるの俺らだから」
マックスがおどけて突っ込むと、皆も笑ってくれたので気が緩む。
あなたは一緒に来た二人のことも紹介した。