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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第19章 忘年会編


肩を小突かれてもクリスは悪びれず口笛を吹いている。
しかしマックスはそんなことでは折れなかった。

「とにかく聞くだけ聞いてみろ。俺はしつこくはしない。断られたら引くのが俺の強さだからな。ほら聞くだけだって」

クリスが他のメンバーを見回すと、もう話題に飽きて酒を楽しんだり自由だ。

「はあ。わかりましたよ。無茶苦茶なあなたを止めるすべを凡人の僕は持っていません。やっぱりヴィクトルを起こすしか⋯⋯でもあの人、酔うまで飲んだら起きないしなぁ」

そう肩を落としながら、渋々メッセージを打ち始める。律儀な彼は「名無しさん、今年もありがとうございました」から始まる丁寧な文面だ。

数分後、クリスはスマホの画面をマックスに見せた。

「ほらやっぱり。申し訳ないからと断られましたよ。当然ですね」

ぴしゃりと言うと、信じていないマックスはしびれを切らし、彼のスマホを取り上げた。

昔のように低いとこから必死に伸ばされる手を制し、彼はあなたに電話することに成功した。

「あ、もしもし名無しさん? 何してるの?」

彼の完璧な愛想をふりまく営業トークが始まる。
クリスは横でうなだれて顔を押さえる。

「実はヴィクトルが酔っ払っちゃってね、大変なことになってるんだよ。――ああいやいや大丈夫、けど君のことをうわ言のように呼んでいて――」

マックスはそのあともずっと喋っていた。
彼が通話を終えると、にんまりとクリスのほうを向く。

「来るってよ」
「最っ低です! 嘘ですよねそれ!」
「いいかクリス、今のは完全な嘘じゃない。誇張だ」

彼は自信に満ちた眼差しで諭し始める。

「それにな、名無しちゃんは今お友達とその彼氏と忘年会をしてたらしい。後ろで「行く行く!」と喜ぶ声も聞こえたぞ。盛り上がりそうでいいじゃないか、はっはっは!」
「⋯⋯え? 本当ですか? それならいいのかなぁ⋯」

一瞬混乱し、考えることが面倒になったクリスは唸りながら両腕を組む。
家の主ヴィクトルが知らぬ間に、事態は動いていた。
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