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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第19章 忘年会編


ヴィクトルはきちんとオードブルや食事のケータリングを用意している。

だが、後から小綺麗な格好をした金髪の青年が入ってきた。皆より一世代若いクリスである。
彼は両手に下げていた紙袋をテーブルにどさりと置いた。

「あれ、皆さんもう飲んじゃってるんですか? 僕のことも待ってくださいよ」
「ああクリス。助かるよ。俺の用意だけじゃ足りそうになくてな」
「そりゃそうですよ。このぐらいならうちの兄貴だけで食べれますって」

弟の登場をいち早く喜んだのは兄のフロリアンである。

「おおクリス! 頼んだチキン持ってきてくれたか?」
「持ってきたよ。激辛だろう? でもあんまり食べるとお腹痛くなるよ兄貴」
「ははっ! 俺を見くびるなよ。今日ぐらい好きなもん食わしてくれ」

普段は力強いリーダーシップを発揮するフロリアンの子供じみた台詞を、皆はからかいまじりに笑った。

兄弟も揃い、賑やかな宴会が始まる。
特に新しいこともなく、皆もういい年なので飲食も落ち着いている。

ヴィクトルが自分のペースで飲んでいると、近くにマックスが移動してきた。

「ヴィクトル。例の件のことだ」
「ああ、どうなった」
「法務部に報告して、厳重注意に留まったぜ。初犯だし、内部で起きたことではあるが、対象は社外の人間だからな。二度はないだろうと判断された」
「そうだな⋯⋯」

ヴィクトルは冷静に答えたが、あなたに暴言を幾度となく吐いたミーガン・ホランドのことを思い出しただけで、虫唾が走っていた。

「あいつも中々仕事は出来たんだがなぁ。まあ出世は消えたな。この件を他の社員は知らなくても、俺ら幹部は共有してる。これからどうするかも自分で決めるだろ」

自分の部下について、営業部長のマックスは顎をさすりながら、さほど興味のなさそうに話した。

ヴィクトルもあの女性社員の進退には無関心だ。ただあなたに近づくことはもうないし、自分が目を合わすこともない。
それだけのことだった。
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