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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第19章 忘年会編


まだ続々と男達が現れる。
皺一つないシャツとスラックス姿の理性的な男エリオ。
休日なためオールバックの黒髪は少し崩していたが、キリッとした眼鏡の美男子である。

彼は今のような冗談が嫌いなのでヴィクトルは温かく迎え入れるだけにした。

「やあエリオ。よく来てくれた。入ってくれ」
「ああ。何度来ても良い家だな。これは赤ワインだ。いいやつだから2人で飲んでくれ」
「素晴らしい。ありがとうな」

ヴィクトルは初めてほっとした笑顔を見せる。
エリオは一瞬ヴィクトルの手元の箱に視線をやったが、見て見ぬふりをして中に入っていった。

最後に現れたのは坊主頭のアンドレイである。
彼は玄関扉が隠れるほどの屈強な巨体をカジュアルなダークスーツに包んでいる。
ボート部ではもっとも馬力が必要なミドルのポジションで、大いなる活躍を見せてくれた。

ヴィクトルは手元の箱の行先を諦め、アンドレイに尋ねた。

「アンドレイ。それは何だ?」
「抹茶だ」
「うん、そうか。綺麗な入れ物だな。今抹茶にはまってるのか?」
「そうだ」

めったに表情の変わらない寡黙な友人の背をぽんと叩く。

「じゃあありがたくいただこう。後で飲み方を教えてくれ」

ヴィクトルは親密に彼の肩を抱き、室内へ案内した。



忘年会は例年通り進む。
会社で部下に見せているような、高級スーツに身を包んだスマートな幹部の姿はここにはない。

ひとたびオフィスから出れば、大学時代の元ボートクラブのクルーたちが昔のような雰囲気でリラックスしていた。

「他のメンバーは来れないのか?」

フロリアンがリビングの対面ソファの床にあぐらをかき、ビール瓶を空けて尋ねる。

マックスが向かいのソファの端で、スマホを見下ろしながら頷いた。

「今日は30日だからな。例年より遅くなっちまった。既婚者も多いし、暇なのは俺らだけだ」

そう自虐的に笑っていたが、ミロが乾杯の音頭をとり、ひとまずビール瓶を打ち鳴らした。
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