第19章 忘年会編
12月30日、ヴィクトルのマンションに会社の幹部メンバーがやってきた。
玄関扉から最初に現れたのは親友で社長のフロリアンだ。
短い金髪に筋骨隆々な体で、休日のラフなセーター姿の彼は、手土産のビールケース2つを持ち込んだ。
互いにがっちりと友人同士のハグをする。
「調子はどうだ?」
「いいよ。お前はどうだ、フロリアン」
「まあまあだ。酒飲んだらすぐ寝るかもな」
寝不足なのかあくびをしながら彼は中へ入っていった。
ヴィクトルはそんな彼を笑っていたが、次に現れた男を見て大げさに眉を寄せた。
満面の笑みを浮かべる悪友マックスである。
今日は全員スーツではなく普段着だが、彼だけ胸元が開いた派手なシャツを着ている。
香水の匂いもきつく金髪もばっちり固めていて、仲間内でも高い自意識とファッション性を誇る男だ。
「よおヴィクトル」
「ああ。なにを持ってるんだ?」
じろりと見つめる先には、お菓子の箱に似た高級ギフトがある。
ヴィクトルがそれを開けると、綺麗にコンドームの袋が並んでいた。
彼は口元をひくつかせ尋ねた。
「お前はこれが面白いと思っているのか? 」
「はっはっはっは! 俺なりの祝いだろう」
マックスは想像通りの反応をもらい、上機嫌にヴィクトルの肩を叩きリビングに入っていった。
された側には失笑が浮かんでいるが、そこへ無邪気に現れたのが平均身長のミロだ。
茶髪はさらりと艷やかで、細身だがきちんと鍛えている。スーツでない時はスポーティな雰囲気の若々しい男だった。
「ヴィクトル、はい。いつものケバブ。ポテトも買ったよ」
「ああ、ありがとう」
ヴィクトルはそれを受け取り、ミロに自分が抱えた箱を手渡そうとした。「いるか?」と一言つけ加えて。
誰でもいいから処分したかったのだ。
「なにそれ嫌味? 相変わらずくっだらないなぁ、お前らって。少しは成長しろよ」
するとミロは童顔に似合わぬ毒舌を吐き、さっさと行ってしまった。
ヴィクトルには返す言葉もなかった。