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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第17章 実家編


「来たんだね。じゃあ私お風呂に入ってこよ〜っと。二人でゆっくり話しなね」

父の両肩に手をのせて優しくほぐし、あなたにも微笑みかけて母は軽やかにその場から去っていった。

親子が残され、父は気まずそうに後頭部をかいていたが、あなたはそそくさと斜め隣の椅子に腰を下ろす。

もう気詰まりはなくなり、背を前に傾けて真剣に父に話をした。

「お父さんの気持ちわかった。ありがとうね。でも私、お母さんの言ってくれた通りでね。前よりも言いたいこと、我慢せずに言えるようになってきたんだ」
「⋯⋯そうか。それは俺もさっき少しは感じたよ」

父はまだ視線を落としていたが、態度は明らかに軟化している。

「そいつの影響ってことか? そのヴィクトルってやつは、どんな奴なんだ。裏表はなさそうなのか」
「ううん、ないよ。彼は仕事がすごくできて、会社でも重要な役割を担ってる人だけど、一緒にいるとき一番心が安らげるって言ってくれる。私もそうなんだ、彼といるときは一番安心できて、お互いに弱いところも見せあえる関係なんだよ。でもそれは、最近とくにそう感じるようになってきて、一緒にいる中で育んできたような気もする」

端から見たら短い期間だろうけど、彼と過ごした時間はたくさんあり、ひとつひとつがあなたの中に大切に刻まれている。

そのことを少しでも、大事な家族である両親に伝えられたらと思った。

話を聞いていた父の顔つきは、だんだんと寂しそうな、でも納得せざるを得ないような落ち着きに変わっていった。

「安心か⋯⋯。お前にとっては、それが一番重要だな。親である俺達にとってもそうだ。⋯⋯対等なのはいいことだ。けどな、お前のことを一番に考えてくれるか? 守ってくれるのか。古い考えかもしれんが、大事なことだぞ」
「うんっ。わかってるよ、お父さんの心配は。ヴィクトルはすごく私のこと考えて、守りたいって言ってくれてるよ。でも私も同じだし、彼のことそばで支えたいんだ。若いし力不足かもしれないけど」
「そんなわけあるか。名無し、お前がいてくれたら百人力だよ。卑下するな」

まるで自分はそうだったと言いたげな父が胸を張って両腕をぐっと組んだため、あなたはふっと気の抜けた笑みになる。
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