第17章 実家編
「いや違うよ。それ全部間違ってる。年の差は18歳だし、手籠めになんてされてないし、わ、私がヴィクトルをナンパしたんだし。そして彼は常識的なとってもいい人だよ」
しどろもどろで言うあなたは、この台詞じゃ逆効果だと父の表情でわかった。
「常識がある奴はな、こんなことしないんだよ。お前も男をそのへんでナンパするような人間じゃないだろう? 俺はお前を信じてるぞ。だからそいつが悪い」
「違うってば! 状況だけで判断しないでよ、彼は何も悪くない、私が彼を好きになったんだから!」
前のめりになって主張するが、父は太い腕を組んで壁のように座っている。
ああ、どうしよう。
まさかここまで怒りを溜めてるとは思わなかった。
自分が直接話さなかったのが一番悪いが、母からも詳しく聞いてなかったのだ。
「ごめん、名無し⋯⋯。なんとか今日までになだめようとしたんだけどね、なんか怒っちゃって⋯⋯そういう時頑固でさ、ステファンって⋯」
「君はなぜそっち側につくんだ? 俺は理解できないね。二人とも警戒心がなさすぎる。どこの馬の骨とも知らない中年が年端もいかない娘に近づいてきたら、許さないのは当たり前だ!」
父が叫ぶと小柄な母も負けじと食卓に両手をつく。
「あなただって私より十五歳上の男だったじゃない、変わらないわよ! 私はね、ただ会ってみてから決めましょうよって言ってるの!」
「会う必要なんかない! 俺も確かに君と出会った時40の男だったが、君は25歳だった! 21の若い娘じゃないだろう!」
「⋯⋯はっ? ねえ今すごくひどい事言った? 25だって若い娘なんですけどッ!」
「い、いやそういう意味じゃなくてな、悪かった、確かに若いよ――ああ君も少し冷静になれよ!」
二人がヒートアップしてしまい、あなたは間でおろおろする。
自分と彼の交際が、どうやら夫婦の仲にも大きな影響を与えていたようだ。