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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第17章 実家編


涙を乾かすまでの時間が必要だったが、あなたは母と実家に帰ってきた。

ごまかすように照れ笑いをして話しかける。

「誰にも言わないでよ、子供みたいにやっちゃったこと」
「言わないってば。別にいいじゃない、親の前なんだから。いくつでも子供だよー」

下から鼻をつままれてからかわれる。
まだ気恥ずかしさはあるけれど、明るい雰囲気の母で良かったと思った。

あなたは荷物をキッチンに置いたあと、洗面台に行って顔を洗った。父が帰る前に腫れた目を戻さないと。

衝撃的な出来事のあとで、ヴィクトルのことも頭から離れなかった。
なんでも話してと言ってくれた彼。このことを伝えたらどうなるのだろう。

でも、自分は元カレに言い返せた。はっきり気持ちを告げられた。だから、彼はマティアスにまた怒りが湧き起こるだろうが、知らせてもいいんじゃないかと思えた。
ちゃんと言えたよって。

あなたはまだ胸の底にくすぶる興奮を抱えながら、実家で過ごすことになった。



父からあと1時間で着くと言われたので、食卓の準備を始めた。スタートは午後三時ぐらいだろうか。

その間母がなにやら熱心にメールを打っていたが、あなたはテーブルの食器配置や飾り付けを終えて満足する。

実は父と会うのも若干緊張が拭えないでいた。ヴィクトルのことを面と向かって話すのは初めてだからだ。

「――あっ、車の音だ。帰ってきたわね」

母が窓の外を見やり、急ぎ足で玄関へ向かう。半年ぶりに会う父を若干ドキドキしながら待っていると、やがて大柄な父が扉をくぐって現れた。

「お父さん、おかえり〜。クリスマスおめでとう!」
「ああ。ただいま。お前もおかえり、名無し。おめでとうな」

口元はうっすら微笑まれたが、なんだかテンションが低く見えた。
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