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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第17章 実家編


イブから25日の今日まで、あなたはヴィクトルと二人で過ごせた。
そして午後になった今、実家のある地元に帰ってきている。

今住んでいる都市部から電車で1時間の小規模な街で、人口は10万人ほどだ。
あなたはここで生まれ、高校を卒業するまでの青春時代を過ごした。

中央駅もこじんまりとしているが、歴史ある広場と住宅街が交わる姿は、懐かしさや安堵も感じさせる。

「ただいま〜」
「おかえり名無し〜。車停めるとこあった?」
「うん、家の向かい側。お父さんの車なくない?」
「それがいないのよ。友達と釣り行くってさ。明日帰るって」
「はぁっ? そうなの?」

あなたは玄関先で小さい荷物をおろしながら驚いた。
迎えてくれたのは小柄な母一人だ。名をエレーネといい、近所の銀行に勤める50歳である。
ふわりとした黒髪に柔和な笑顔を浮かべ、ゆったりめのニットを着ていた。

「こんな日にいないって。アクティブだねぇ。じゃあ明日の丸焼きどうするの?」
「それまでには帰るって言ってたわよ。だから私達二人でお肉屋さんに取りに行くの付き合ってね」
「うんわかったー」

母に返事をしてひとまず2階の自室へ行く。整理整頓されてるが机もソファもほぼ昔のままの空間で、ほっと一息ついた。

そのあとリビングへ降りてくると母は紅茶を用意していた。工夫を凝らしたクリスマスクッキーもあり、あなたは実家の味に舌鼓を打つ。

「美味しい〜。やっぱお母さんの焼き菓子が一番うまいや」
「ありがとう、今日は二人で夜ご飯食べようね。好きなステーキ作るからさ」
「うそっ、ありがとう! 簡単なやつでいいからね、お母さんも休んでよ」

自炊するのは苦ではないが、やはり人の愛情のこもったご飯は心に沁みて嬉しかった。
母も久々に娘に会えてテンションが上がってるようだ。

「お父さんはいないけど女二人でじっくり話せるのもいいわよねえ」
「そうだね。まさか気をつかってくれたのかな?」
「ないない! そういうタイプじゃないステファンは」

言い切る母が面白くあなたは声を出して笑った。
外が寒い中、暖かな暖房のきいた部屋でぬくぬくと実家で過ごせる時間は格別だ。

そしてやはり、母は興味津々でこのことを聞いてきた。
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