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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第16章 真相編


「――わあ、寒くなってきたね。電車の時間もあるし、そろそろ帰ろうか」
「うん。もう欲しいものない? お菓子とか、スナックとか」
「へへ。だよねえ。どうしよう、帰りにローストアーモンド買っていこうかな。家でつまもうよ」

明日はゆっくり実家に帰るし。
そう楽しそうに話すあなたの手を、ヴィクトルはしっかり繋いで歩き出す。

だが、そんな時に予想外のことが起きた。
人混みで背の高い男性が多い中でも、ヴィクトルの視界はあなたより高く遠くを見渡せる。

彼は、道の向こうから歩いてくる数人の若者たちが目にとまった。
その中の金髪の男に瞬時に眉をひそめ、言葉が途切れる。

あなたの元彼である、マティアスがいたのだ。
友人らしき男性らと話しながら、手に酒を持って歩いている。

今日という日に最も有名なマーケットで出くわすことは、あり得ないことではない。

しかし軟派な風貌をした相手のふてぶてしい顔を見た途端に、あの日のことが蘇り、怒りが再燃しそうになった。

「ヴィクトル?」
「――ああ、うん。名無しちゃん、こっちの道に入ろう。まだ歩いてなかったよね」
「そうだね、ここまだ見てないや。あっすごい、綺麗なロウソク屋さんもあるよ」

あなたは装飾品に視線を移して彼と通りへ入っていく。
ヴィクトルはまださっきの道を見つめながら警戒していた。

自然と顔が険しくなる。
これは彼にとっては、当然の対処だ。きっと相手を見つけたら動揺するだろうし、あなたをあれほど傷つけた男にはもう会わせたくなかった。

「一袋ください、甘いやつで。――他にもいる?」
「ううん、ありがとう。美味しそう〜」

両手で嬉しそうに受け取る姿を見てほっとする。
しばらく店先のミニテーブルに留まり、帰るまでのちょっとした時間を二人で味見をしながら和やかに過ごした。

「やっぱり帰るの寂しくなってきた。幻想的で綺麗だよね、クリスマスマーケット。⋯⋯またヴィクトルと来たいな。来年も来る?」
「もちろん。来年も再来年も。毎年一緒に来ようね」
「⋯⋯うん!」

とびきり喜びにあふれた表情が、全身に触れてくる。
この笑顔を、失いたくない。
いつまでも自分のものにしてしまいたくなる。

たった短い間でも、離れ離れになることが今からヴィクトルの心をざわめかせていた。
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