第16章 真相編
その夜、仕事を終えた彼は乗用車を運転して自宅マンションへ向かっていた。
表情は重苦しく、ため息を押し殺して暗闇を見つめている。
今夜はあなたと会う約束があり、家に来てくれると言っていた。先に仕事が終わり、きっともう帰っているだろう。
「⋯⋯⋯⋯ッ」
ハンドルを握る手に伝わるほど、まだ怒りが収まらない。
しかしそれは、自分への怒りだった。
ミーガン・ホランドの戯言などどうでもいい。聞いた瞬間から忘れることだ。
ヴィクトルはあなたと自分との関係を、ああいった人間に語る価値もないことを知っている。
理解される必要もないことを。
しかしあなたは違う。
優しく思いやりのある、ときに自分の責任だと考えてなくていいことまで思いが及んでしまうあなたは、ミーガンの言葉を直接受け取ってしまったのではないか。
そこがヴィクトルにとっては、受け入れがたい苦悩だった。
愛する存在が傷つき痛みに晒されること――何より自分のせいで。
それはヴィクトルにとって、身を掻きむしりたくなるほどの苦しみだった。