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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第16章 真相編


予想だにしなかった言葉にヴィクトルは驚愕する。
カイラが話し始めたことはどれも、初めて聞く内容だった。

「……なんだって? つまり君は、その手洗いの場で二人のやり取りを偶然聞いていたのか」
「そうです。でもやり取りなんていう普通のものではなくて、ミーガン・ホランドの一方的な言葉の数々から始まりました。これを見てください」

彼女は自らまとめた書類をヴィクトルに差し出した。
それを見て彼は目を疑った。

時刻と音声がまるで克明に語られているかのように、ミーガンとあなたの台詞が描かれていた。

「どういうことだ、これは。……本当にあの社員がこんなことを……?」

ヴィクトルが目にしたのはひどい侮辱の羅列だ。瞬間的に脳内がぐらつく。

そしてあなたがおそらく勇気を振り絞って言ったであろう言葉――それを知った途端に、彼は胸の奥が深くしめつけられる思いがし、拳に強く痛ましい力がこめられた。

「…………ッ」

彼は部下の前で苦悩に満ちた顔を見せていた。
カイラは事態の重さを痛感し、すぐに頭を下げる。

「申し訳ありません! すぐに対処すべきでした、本当に後悔して――」
「いいや、君のせいじゃない。こうして詳しく俺に教えてくれて、本当に助かったよ。カイラ」

彼は真剣な眼差しで部下に伝える。そして静かにこう言った。

「君は十分なことをした。感謝するよ。ここからは俺がやろう。ありがとう、もう大丈夫だ」

カイラは瞳を揺らしながらも、しっかりと頷いた。
ただならぬ雰囲気の上司にもう一度頭を下げ、その場を去ったのだった。

そしてヴィクトルは机前に腰を下ろす。両肘をついて書類に視線を落としていたが、突然怒りに任せて拳を強く机に叩きつけた。

「クソッ!」

彼の本来聞くことのない悪態が、部屋に鳴り響く。

形の整った切れ長の瞳は煮えたぎる感情で歪み、手の力は紙をぐしゃぐしゃに掴んだ。

――あなたは、この事を何も言わずに耐えた。
自分には笑顔を見せて、でもあの夜だけはすがるように甘えたりして。

そのことがヴィクトルの胸に最も刻みつけられ、惜しみない愛情を根底から揺さぶった。

彼の心は今、他者への怒りとあなたへの深すぎる想いに荒れ狂っていた。
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