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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第16章 真相編


「何なんでしょうかね。年も近いし、ただの嫉妬の類だと感じましたけど。彼女も馬鹿な真似はしないと思いますが……こちらでも探っておきましょうか」
「いいや、教えてくれてありがとう。なんとかするから大丈夫だ」

ヴィクトルは彼女にまっすぐ礼を言う。あの社員が自分の婚約者をよく思っていないこと、その事を他者から知り得ただけで有益な情報だった。

しかし同時に彼は、もちろん喉のあたりまで不快感がこみあげてきた。

ーーー

もしミーガン・ホランドがこの件に関わっているとしたら、それは間違いなく自分の責任だ。

ヴィクトルは苦渋の表情で考える。
なぜならクリスマス前に彼女の贈り物を正面から断ったからだ。

そうした出来事は彼にとって珍しくはないため、記憶から抜けていた事自体が歯がゆく痛い。

どのように手をつけるか考えながら過ごしていると、午後の国際事業部の打ち合わせで、ある社員がやって来た。

「あの、すみません。ヴィクトル」
「うん。どうした?」

自分の目線のかなり下には、自信がなさげな眼鏡の女性社員がいる。

紺色のオフィススーツにボブの黒髪で、彼女はれっきとした五年目の部下だが、未だにヴィクトルの名を呼ぶ声が尻すぼみをしている。

「カイラ。会議での報告、すごく良かったよ。複雑な案件なのに、分かりやすくまとまっていたね」
「あ、ありがとうございます。あと少しで最終のフォローアップまで辿り着けそうなので、頑張ります。……それと実は、仕事の件とは違うんですが、話したいことがありまして」

周りの目を気にするように、おずおずと打ち明けてきたため、ヴィクトルは頷いた。

「わかった。じゃあ俺のオフィスで話そう。いいかい?」
「はい。お願いします」

そうして二人は彼の部屋へと移動した。



若手社員のカイラは普段緊張しやすく、声も小さめだ。
しかしプレゼンの前には深呼吸をする姿が印象的で、ひとつひとつ仕事に熱心に取り組み、その姿勢を上司のヴィクトルは気に入っていた。

そんな彼女が今、デスクそばに立つ自分の前で、覚悟した面持ちで書類を抱えている。

「――実は、お話しなければならないことがあるんです。もっと早く言うべきだったのですが、ヴィクトルの婚約者である名無しさんと約束をしまして、この数日悩んでいました」
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