第16章 真相編
「ヴィクトル? 顔色が変わったぞ。大丈夫かい」
「⋯⋯ん? ああ、平気さ。すまないエリオ、もう行くよ。助かった。また二人で飲みに行こう」
「ああ。そうしよう。何かあれば言ってくれ」
彼は深堀りせずに声をかけて視線を交わし、足取り確かなヴィクトルを見送った。
その日は冬休暇直前の詰めの時期で、ヴィクトルはちょうど部長のマグダと話す機会があった。
出入りのある小会議室で、年内案件の整理についてだ。
「ヴィクトル。年内クローズはこの三件で確定ですね。海外案件は一応ここまで、残りは年明けに回しましょう」
「了解だ。じゃあこちらでもクライアントにはそう伝えておくよ。無理はさせない方向でね」
二人が仕事の話を終わらせると、まとめ髪にパンツスーツの似合う大人の彼女は愛嬌のある笑みを浮かべた。
「そういえば、この前のパーティーで#名無し#さんに約束したんですよ。年明けたら絶対ブティック行くねって。もう後輩と日程決めてますからね!」
「そうか、それは俺も嬉しいよ。彼女も喜んでたよ。お店が気に入ってもらえたらいいなって」
ヴィクトルは快く受け答えた。実際あなたから後日その話を聞いた際も、明るく話していて普通の様子だった。
様子がおかしかったのはパーティーの夜だけで、だからこそヴィクトルの心配は募っていた。
「マグダ、君に聞きたいんだが。彼女に何か変わったところはなかったかい?」
少し身を屈め、内的な話の態度を見せると、マグダは途端に目を見開く。
「どうしてです? 何かあったんですか」
声のトーンをすぐに変え、仕事の時と同様の真剣な顔つきになった。
ヴィクトルが言葉を選ぼうとすると、彼女も素早く頭を巡らす。
「そうですね。直接関係のないところで、少し気になることは――」
「ホランド君か?」
即座に名前を出されて驚かれる。ヴィクトルの冷ややかな顔つきに何か感じたのだろう、マグダは考えた末、あの日の裏のミーガンの様子を簡潔に伝えた。