第15章 クリスマス編
「もう欲しいよ、抱いて」
我慢できずに彼の腕に触れて言うと、ヴィクトルも浅く呼吸をして服を脱ぎ去った。
二人の裸が重ね合わさる。あなたの乳房に彼の胸板が密着し、ぴったりと抱き合ったまま間近で見つめ合った。
「んん、好き、好きだよ、ヴィクトル」
「俺もだよ、名無しちゃん、名無しちゃんだけだ」
そう伝えてくれるたびに、あなたは泣きそうになってきて、彼の肩口に顔を隠した。
これ以上求めるものなんてない。
ヴィクトルの愛はいつもまっすぐ向かってくる。全身の奥深くまで届いてあなたの心を照らす。
「もういく、いっちゃうよ、もっと抱いて」
「ああ⋯⋯一緒にいこうね、俺達はずっと一緒だよ」
熱のこもる彼の腕に包まれ、隙間なく重なった二人は視線を交じらせ口づけをした。
果てたあとも繋がりを解くことはなく、指同士を絡めたヴィクトルはあなたを後ろから抱き込んでいる。
「名無しちゃん⋯⋯愛してるよ」
あなたの好きな体勢で安心を与えてくれる彼は、耳元で囁いて首筋にキスを落としていった。
「うん、嬉しい⋯⋯私も愛してるよ、ヴィクトルだけ」
顔をついと振り向かせて、二人とも引き寄せられるように丁寧に口づけをかわす。
高ぶる気持ちから始まった交わりも、今は温かく広がる愛で自分達を包み込んでいた。
あなたは視線を正面に戻し、彼の胸にぎゅっと背をうずめる。
「ねえヴィクトル。違うところで出会ってたら、私のこと好きになった?」
そう尋ねると、ヴィクトルは目を見張らせた。瞬間的に瞳を揺らし、上体をあなたのほうへと傾ける。
するとあなたの不安そうな眼差しは、彼の真剣でまっすぐな黒い瞳に捕えられた。
「ああ。君のこと好きになったよ。当然だ」
彼ははっきりと答えた。見上げる頬を大きな手のひらで包み込んで。
あなたの目元が揺れて潤み出す。
「⋯⋯そっか。嬉しいな」
短く答えて、あふれそうな気持ちを心で大切に感じ取った。
「私も絶対好きになってたよ。ヴィクトルのこと」
自分もそう伝えると、喜びに心が震えるのと同時に、なぜだか安らいでくる。
あなたの中では、この二人の言葉は誓いの意味をもつほど、静かに輝いていた。
ヴィクトルは何かを感じ取ったかのように切なげな眼差しで、あなたの背中を離さぬよう抱きしめていた。