第15章 クリスマス編
そうはっきり口にしたのはあの若い女性、ミーガンである。
あなたは心臓がドクッと鳴り、狭い個室で動けなくなる。
もう一人は一瞬閉口したが、やがてこう言った。
「ねえどうしちゃったの? 少し落ち着きなさいよ。私はあの子好きだけどね、可愛くって素直そうで」
「そう見えるように取り繕ってるんですよ、皆すぐ騙されるんだから」
強気な発言に対し、しばし沈黙が広がる。
「はいはい、なんか余裕ないね〜。部長のこと好きなのはもうわかったってば」
予想していなかった3人目の呆れ声が響き、息を呑んだ。
やっぱり彼らは、さっき話をしていた女性社員たちのようだ。
「別にそういう話じゃないです。皆当たり前のように受け入れてるのが変って言ってるんですよ」
「そうかなぁ〜? 自分が気に入らないだけじゃない? どっちにしろ、あんたも部長には相手にされないって、ムリムリ!」
あの企画部の女性が冗談のように笑い声を飛ばすと、ミーガンは黙りこくっていた。
あなたは彼らが去る音が聞こえても、呆然と前を見つめていた。
やがて個室から出て鏡の前に立った。髪を後ろに長くまとめ、深い赤のドレスにネックレスが輝く、年頃の女性が映っている。
思考が落ち込んだままバッグに手を置いてうなだれていると、突如近くのドアが開いた。
現れた女性を見て心臓が引きつる感覚に陥る。ミーガンだったのだ。
「こんにちは」
「⋯こんにちは」
平然とした顔つきの黒髪セミロングの彼女は、クリーム色の清楚なドレスから伸びる脚をまっすぐ揃え、あなたの隣に並んだ。
バッグからリップを取り出しつけている。
あなたは黙って会釈をし、立ち去ろうとしたのだが。
「ねえ」
その声に振り向くと、彼女は冷たい表情ではなく、自信を浮かばせていた。
だが彼女のぶしつけな視線があなたの指先に行くと、眉をひそめて不快感を示す。