第15章 クリスマス編
気さくで包容力のあるフロリアンと楽しく会話していると、彼は思い出したように胸元からこんなものを渡した。
「はい。これは俺の奥さんからなんだ。ちょっとしたギフトでミニカクテルとチョコ、君によろしくねって。今日も来たがってたんだが、子供たちが小さくてね。今度ぜひ四人で食事でも出来たら嬉しいな」
「はい! ありがとうございます。私もぜひお会いしたいです、楽しみです。アナさんにもよろしくお伝えくださいね」
クリスマスの贈り物と優しい言葉に感激したあなたは、目一杯のお礼を伝える。
なんだか緊張していたけれど、ヴィクトルの周りの人は皆いい人で優しくて、感謝が絶えなかった。
まだ彼の仲間の半分にしか挨拶してないのだが、ビッグイベントの親友との対面を無事に終え、あなたはお腹が空いてきた。
「んーっ、どれも美味しい! ほんとにこのビストロ最高だね。すごい気に入っちゃった!」
「はは。じゃあ今度帰りに持って帰ろう、それで一緒に食べようね?」
「うんっ」
小声ではあるが、あまりに子供っぽい振る舞いだったかと我に返り周りを見やる。
すると遠くで一人の女性がこちらをじっと見てるような気がした。
目を凝らすと彼女は消え、あなたはもしや⋯と思う。
しかししばらくして、ヴィクトルがあなたから離れる瞬間がやって来た。
「ごめんね。話した通り、プレゼント交換の司会の時間だ。終わったらすぐ戻るからね」
「うん、大丈夫だよ。頑張ってね、ここから見てるからね。あ、動画も撮っちゃおうかな」
「はははっ。恥ずかしいな。まあ君にならいいよ」
彼はそう笑って、なんと別れ際少し背を屈め、あなたの頬に軽く唇を触れさせた。
「わあっ!」
「ふふ、大人しくしてるんだよ名無しちゃん」
たまに出る保護的な彼の笑みに反応が返せなくなるが、あなたは緩む頬を赤くし、彼に手を振った。