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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第15章 クリスマス編


——もしかして、あの人がヴィクトルの親友の社長?

あなたは目を見開いて釘付けになっていたが、頭上からヴィクトルの「なんだあれ。ダッサいな」という素の鋭いツッコミが落ちる。

クリスはまた腹を抱えながらも、標的をヴィクトルに定めたようだ。

「俺か? 俺は踊るの上手いよ」
「えええっ! すっすごいねヴィクトル、私は無理! 絶対に無理だからね!!」 

あなたが異常なまでに拒否すると、目を丸くした彼が「はっはっはっ!」といつもの笑い声を聞かせてくれた。

「そんなに怯えなくても。名無しちゃん、君をこんなところで踊らせないよ。するなら二人きりでしよう」
「えっ、えっと、そうだね⋯へへ」
「うわっやらしいなぁ〜なんですかそのオヤジみたいな台詞は」 
「⋯⋯君な、人が浮かれてる時にグサッとくる事言うのやめてくれないかい? クリス」

2人の遠慮ないやり取りを見てるだけでもあなたは楽しかった。
すると踊り疲れたフロリアンがこちらに向かってくる。
それを期に、気を使ったのかクリスは笑顔でさっとその場を後にした。

「やあ、恥ずかしいとこを見られちゃったかな。見てない? 見てないと言ってくれ名無しさん」
「あっ、どうもはじめましてフロリアンさん! 見ちゃいましたけど」

あらかじめ彼の親友について話を聞かせてもらっていたあなたは、実際に目の前にしても自然な雰囲気で温かな握手が出来た。

ヴィクトルと高校時代からの仲であるフロリアンは凛々しく精悍な顔立ちで、分厚い胸と太い首、長身が目立つ男だ。

だがさっきの部下に誘われ踊る姿を見るに、熱い男ながらも優しさとフレンドリーさを兼ね備えた人物なのだとすぐに分かった。

「こいつが君に会いたいって熱望しててね」
「そりゃそうさ。親友が惚れ込んでいる特別な女性だろう? そうだ、婚約おめでとう、二人とも。末永い幸せを祈っているよ。名無しさん、ヴィクトルはほんとにいい奴だ。そこは俺が保証しよう。しかし時折腹立たしいこともあるだろう、そういう時には迷わず俺を頼ってくれ。すぐにこらしめてあげるからね」
「そっ、ええっ! あ、ありがとうございますフロリアンさん、たぶん大丈夫だと思いますけど⋯!」

真面目に返したあなたのことを、大人二人は笑いながら見守っていたのだった。
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