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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第15章 クリスマス編


それからヴィクトルは自分のオフィスへ戻る前に、彼女より先に営業部の階へと階段を下りていく。

廊下の角を曲がり歩みを進めると、ちょうどトイレへ入っていく金髪の男を見つけた。

ヴィクトルは彼に続いて中へ入った。
用を足し始めているその筋肉質なスーツ男の横に並び、無遠慮に話しかけた。

「おいマックス」 
「あぁッ! なんだよお前かよ! なんでこの階にいるんだよ!」

大げさに驚いた同僚を見るヴィクトルは不機嫌な顔つきだ。

彼はさっき起きたことを簡潔に伝えた。面倒を避けるためというよりは、注意喚起の意図である。

「え、あいつが? へえ、お前のことが好きだったのか」
「さあな。お前の直属の部下だろう? きちんと指導をしておけよ。俺は世代の離れた部署も異なる幹部だぞ」

つまり普段ほぼ話したこともなければ、社内での間接的な接点もない社員である。

「可哀想に、もらってやれよそんぐらい」
「いいや。俺は昔からこうしてきたんだ」
「そうかよ、見た目に反してお堅い奴だよな。でもよヴィクトル。……あいつ、結構可愛くね?」

いやらしい目つきで顔を近づけられ、彼はうんざりした。
それから鏡の前に移り、ニヤニヤした顔の男と仏頂面の男が並ぶ。

「お前、女性社員をそういう目で見るんじゃない」
「見てねえって。ここにいる女なんてごめんだよ、男に勝とうとする奴ばっか」

舌に指を入れて下品に吐くポーズをする男に、ヴィクトルは呆れた眼差しを向けた。

「とにかくな、お前の頑固な精神はテコでも動かないって俺らはよく知っている。安心しろ、誰も浮気なんて疑わねえって」
「なんの話だ? 俺には何の問題もない。勝手に変な妄想をするな。そして面白がって周りに言いふらすなよ」
「しねえよ! ガキか俺は。営業は信用が命なんだぞ」

ヴィクトルは確かにこんなくだらない中学生のような会話になってしまったことを後悔する。

しかし彼の見立てに反して、この先何も起こらないということもまたないのであった。
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