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美オヤジを誘って囲われて救われる話

第15章 クリスマス編


次の予定が終わり、ヴィクトルは夕方にもまだ社内にいた。

一人で廊下を歩いていて、先ほど皆とした会話を反芻する。

彼らが気になるのは婚約者となったあなたのことで、長年独身で仕事人間だったヴィクトルが関心を持たれるのは自然なことだった。

そしてヴィクトルがなにより最近驚いたのは、あなたが会社のクリスマスパーティーに参加したいと言ったことだ。

婚約を経たことと、これまでのやり取りから彼女の心境が変化したのだろうか。

当然無理をしてるのではという心配もあり、ヴィクトルは気遣ったが、あなたが前向きな気持ちを教えてくれたため、今は二人一緒に公の場に出ることをある意味高揚した気分で待っている。

(だが、あいつらに会わせて大丈夫だろうか。あの男くさい威圧感と押しの強さに、引かれそうだよな……)

彼はビジネスマンらしい颯爽とした佇まいの中でも、時折立ち止まりそんなことを考えたりした。

その時だ。突然後ろから甲高い声で話しかけられたのは。

「部長。ちょっとよろしいですか?」

突き当りに窓がある誰もいない廊下で振り向くと、女性社員が立っていた。オフィス向けの淡色の清楚なワンピースを着て、両手を前に紙袋を下げている。

彼女は確か営業部のミーガン・ホランドだ。この間の週末に、ケーキ店で他の女性社員と一緒にいた人物だと思い出す。

メイクもセミロングの黒髪もきちんと整えられ、頬には薄紅を浮かべていた。

「やあ、大丈夫だよ。どうしたんだい」

ヴィクトルは微笑み正面を向く。
彼女はクリスマスやパーティーに関する世間話をしたあと、紙袋からあるものを取り出した。

「あの、これ……部長に渡したくて。クリスマスクッキーを焼いたんです。よかったら受け取っていただけませんか?」

女性らしい声音で少し恥じらいながら、差し出されたのは美しくラッピングされた箱入りの焼き菓子だった。完成度も非常に高く、見るからに美味しそうだ。

社内とはいえ二人きりの状態で頬を赤らめ、上目遣いで見上げられれば舞い上がらない男はそういない。
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