彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第7章 番外編 七海は彼女との時間を邪魔されたくない
「嘘じゃないでしょ? 僕だってさ、せっかくのホワイトデーに可愛いとナナミンの密会を邪魔するなんて、そんな野暮なこと……するわけないじゃなーい!」
「……貴方がそれを言うと、説得力が皆無です」
七海は資料を握りしめ、苦虫を噛み潰したような顔で天を仰いだ。
報復に行こうにも、相手が「呪術界のシステム」そのものであれば、一級術師として引き下がらざるを得ない。
「……さんには、伝えましたか」
「さっき伝えたよ。彼女、すっごい申し訳なさそうな顔してたなぁ。『建人さんに殺される……』って震えてたよ? あ、でも安心して。僕が現地でちゃーんとエスコートしてあげるからさ」
「……。……貴方がエスコートするなど、それこそ死刑に値する事案です」
七海は冷たく言い放つと、懐からスマートフォンを取り出した。
指が叩きつけるように画面を滑る。
『任務、了解しました。仕事ですから、仕方がありません。……ですが、出張先で五条さんが余計なことを言ったり、変な店に連れて行こうとしたら、即座に連絡しなさい。……お返しは、貴方が帰ってきてから、腰が抜けて二度と立ち上がれなくなるまで、たっぷり時間をかけて行います。覚悟しておいてください』
送信ボタンを押す七海の背中からは、先ほどまでの「理性」を遥かに凌駕する、静かな狂気と独占欲が立ち上っていた。
「お、怖いねぇ。これ、帰ってきた後の、また一週間は公務欠勤確定かな?」
五条の茶化すような笑い声を、七海は鋭い舌打ち一つで撥ね退け、仕事へ向かうべく背を向けた。
ホワイトデー当日の甘い計画は崩れ去った。
だが、その分、延期された「お返し」がどれほど苛烈なものになるか。
それを一番理解しているのは、今頃任務先でスマホを握りしめ、赤面しながら震えている彼女に違いなかった。