彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第7章 番外編 七海は彼女との時間を邪魔されたくない
バレンタインのあの日、五条と家入に煮湯を飲まされた屈辱は忘れていない。
だが、結果として、愛しい女を文字通り骨抜きになるまで抱き潰し、その全てを独占したという充足感は、七海の胸に今も甘い熱として残っていた。
あれから一ヶ月。
七海はホワイトデーに合わせて、万全の準備を整えていた。
先日、情欲に任せて彼女を動けなくしてしまった詫びも兼ねている。
都内最高級ホテルのスイートルームに、彼女が好む静かなレストラン、そして、彼女に首に似合うはずのネックレスが入ったベルベットの箱。
だが、運命か誰かの悪意は、再び七海の計画を嘲笑った。
「……今、なんと?」
高専の廊下。
七海の低い声が、冷徹な殺気を帯びて響いた。
「いやぁ、悪いねナナミン。ホワイトデー当日なんだけど、、僕と出張になっちゃった」
五条悟は、いつもの飄々とした態度で、手元の任務資料をひらひらと振ってみせた。
その口角は、隠しきれない愉悦で歪んでいる。
「……五条さん。貴方、またやりましたね?」
七海の一歩が、床を軋ませる。
その手は既に、得物を呼び出すかのようにネクタイへと伸びていた。
「先日の一件で味を占めたのですか。私の忍耐を試すのは、これ以上はお勧めしません。……その任務、今すぐ他の者に回しなさい。さもなくば、今ここで貴方の私物をすべて塵に帰します」
「うわっ、怖い怖い! 目が本気だよナナミン! でもさ、今回は残念ながら僕の差し金じゃないんだよね」
五条はわざとらしく両手を挙げて、おどけてみせた。
「これ、正式な上層部からの指名任務。特級案件が絡んでるから、僕が絶対条件で、補助にが指名された。拒否権なし。伊地知に確認してみる?」
「……上層部、ですか?」
七海は眉を深く寄せ、五条の手から資料をひったくるように奪い取った。
そこに記された朱印と任務内容は、疑いようもなく「正式な高専からの命令」であった。