彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第6章 番外編 七海は彼女を愛したい
「ねぇ、硝子。今頃どうなってると思う? あのクソ真面目な『一級術師・七海建人』くん」
「……どうなってるも何も。あんたがあれだけ煽って、伝言も握りつぶして。その上で、あの子にあんな『毒(下着と台詞)』を仕込んだんだ。想像つくでしょ」
家入は呆れたように息を吐いたが、その瞳には隠しきれない愉悦の色が混じっている。
「だよねぇ! バレンタインの先を越された怒りと、恋人としての独占欲。そこに『私を食べて』なんて言われたら、あのナナミンが理性を保てるわけないもんね。今頃、腰抜かすまでをぐちゃぐちゃに抱き潰してるんじゃない?」
「……酷い男だね、あんたも。あの子、明日歩けないかもしれないよ」
「ははっ! それも含めて『愛』でしょ。あーあ、明日の朝のナナミンの顔、隠し撮りしに行きたいなぁ。絶対、見たことないくらいスッキリした顔か、死ぬほど気まずそうな顔してるよ」
五条は最後の一粒を放り込み、満足げに喉を鳴らした。
「……まあ、七海もたまにはそれくらい発散した方がいい。あいつ、溜め込みすぎるからな」
「そうそう。僕らなりの『福利厚生』ってやつさ。……あ、でも硝子、明日七海から苦情(殺意)が来たら、全部君のせいにするからね?」
「……死ね。……まあ、いいバレンタインになったんじゃない? 彼らにとっては」
夜の静寂の中、二人の加害者は楽しげに笑い声を漏らした。
翌朝、カーテンの隙間から差し込む光が、熱狂の余韻が残る寝室を照らし出した。
ベッドの中で目を覚ましたは、全身を走る倦怠感に息を呑んだ。
足腰が立たずシーツの海に沈んだまま動けずにいると、背後から逞しい腕が伸び、熱を帯びた肌が密着した。
「……おはようございます。まだ、寝ていていいですよ。五条さんに確認しましたが、今日の貴方の任務は最初から『休み』に設定されていたそうですから」
七海もまた、シーツの下で裸のまま彼女を抱き寄せ、耳元で低く告げた。
「ええっ……!? じゃあ、昨日あんなに急かされたのも、全部……」
「ええ。昨日の伝言の件も、貴方に仕込んだあの演出も、すべてあの人と家入さんの筋書き通りだったというわけです」