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彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】

第6章 番外編 七海は彼女を愛したい


五条という男の底意地の悪さを、あらためて骨身に染みて理解した七海はリビングのソファに深く沈み込み、眉間を指先で強く押さえた。
キッチンカウンターにある、丁寧なラッピングが施された箱。

形状からして、おそらく自分へのチョコレートなのだろう。
だが、今の七海の胸中にあるのは、純粋な喜びよりも、一日の終わりに残った苦い澱のような感情だった。


「建人さん……あの、本当にごめんなさい。私、五条さんの言うことを鵜呑みにしちゃって……」


背後から漏れ聞こえるの声は、ひどくしおれていた。
彼女に悪意がないことはわかっている。
だが、恋人になって初めてのバレンタイン。
五条や家入、伊地知にまで先を越され、自分だけがその蚊帳の外で、あざ笑うような「自慢」に晒され続けた。

何より、そのせいで仕事中に隙を作り、家入に治療されるという醜態まで晒したのだ。
その怪我の原因が、彼女が用意したこの「サプライズ」の裏側にあったのだと思うと、素直に手放しで喜べる心境には到底なれなかった。



「……ええ。計画性がなさすぎます」


七海の冷ややかな声が、静かな部屋に硬く響いた。
は、ぎゅっとエプロンの裾を握りしめた。
彼女には彼女の、譲れない想いがあったのだ。
付き合って初めてのバレンタイン。
どうすれば彼が一番喜んでくれるか、彼をよく知る五条や家入にわざわざ相談までして練り上げた計画だった。


『ナナミン、ああいうの意外と喜ぶからさ! 僕が最高のタイミングで伝えてあげるよ♡』


そう請け負った五条の言葉を信じ、今日一日彼を驚かせ、最高の笑顔が見られる瞬間だけを夢見て任務を早く終わらせ、料理を用意していた。
それが、こんな形になるなんて……。



予定していた「最高のサプライズ」は、五条の悪戯によって最悪の「行き違い」へと成り果ててしまった。



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