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彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】

第1章 彼女は七海が幸せになってほしい 


高専を支配していたのは「死」の静寂だった。
任務を引き継いだ五条の冷徹な横顔も、闇に消えそうな夏油の背中も、今の七海には届かない。
七海は自室の暗がりで、血の匂いがこびり付いた手を眺めていた。
そこへ、扉を叩く微かな音が響いた。


「……七海先輩」


の声だった。
その響きに含まれた「生」の温もりが、今の七海には、耐え難い毒のように感じられた。


「……帰りなさい、さん」


七海は顔を上げず、低く冷淡な声で言った。
だが、は部屋に入ると、迷うことなく背後から七海の首に腕を回した。


「嫌です。先輩が、今にも消えてしまいそうだから」

「……離しなさい。今の私は、あなたに優しくできる余裕などない。同級生一人守れなかった、無能な男だ」


七海は彼女の腕を力任せに引き剥がそうとした。
だが、は正面に回り込み、七海の頬を両手で挟み込むと、そのまま唇を重ねた。


「……っ!?」


不意を突かれた七海の体が強張る。
の柔らかな唇から伝わる、ひたむきな熱。
それは、絶望で冷え切っていた彼の心臓に、無理やり火を焚べるような行為だった。


「……っ、!何の、つもりですか。……憐れみなら、間に合っている」

「憐れみじゃありません。……七海先輩、私に触れて。生きてるって、感じて……」


が潤んだ瞳で見つめ、もう一度縋り付くように口づけを深めた瞬間。
七海の中で張り詰めていた理性の糸が、音を立てて断ち切られた。


「……っ! 後悔しても、知りませんよ……!!」


彼はをベッドに押し倒すと、覆いかぶさるようにして彼女を組み伏せた。


「あなたが……あなたが私を焚きつけたんだ……! さん、今の私に何を求めている!? 救いか? それとも、共に地獄に落ちることか!」


の唇を今度は七海が塞ぐ。
全てを貪り尽くすような深い口づけ。
先ほどまでの拒絶が嘘のように、その舌は激しく、貪るように彼女の口内を蹂躙した。



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