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彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】

第5章 彼女は七海建人と幸せに暮らしたい



「……私、勝手なことをしました。貴方の誇りだったかもしれない力を、勝手に引き換えにして……何もかも、奪ってしまった」

「さん。謝らないでください」


七海は、の言葉を遮るように、彼女の手を両手で包み込んだ。


「あの時、私は確かに死を覚悟しました。暗い海の底へ沈んでいくような、逃れられない終焉を。……それを、貴方が強引に、光の差す方へ引き戻してくれた。……そうですね?」

「……はい。どうしても、嫌だったから」

「代償として、貴方は多くのものを失ったのでしょう。私を救うために。……全く、貴方という人は」


彼はそう言って、の額に自分の額をそっと預けた。
世界の理は書き換えられた。
この先、呪術界がどうなるのか、誰が生き残るのか、もう誰も知らない。
けれど、七海は静かに、確信に満ちた声で告げた。


「呪力も、術師としての地位も、もうありません。今の私は、ただの傷を負った、職探しの必要な男です。……それでも、貴方の隣にいてもいいですか?」

「当たり前です……っ、そのために、私は……」

「ええ。分かっています」


七海はまだ膨らんだのお腹に、もう片方の手をそっと置いた。


「この子の中からも、呪力が消えていました。……私たちはもう、呪い合う世界には戻れません。理がどう変わろうと、これからは、ただの人間として……誰かの死を背負うのではなく、貴方たちの生を支えていきたい」

「……はい。三人で、美味しいものを食べて、たくさん笑って……」

「ええ。約束です………ああ、遅くなってしまいましたが、さん、お誕生日おめでとうございます」

「……っ、……ありがとう、ございます」


窓の外は、静かだった。
あの時聞けなかった、彼からの祝福の言葉は静かな空間に優しく溶けた。


物語の筋書きは消え、二人は真っ白な明日の中に放り出された。
けれど、繋いだ手の熱さ、そして隣で刻まれる彼の鼓動。
それだけがあれば、もう何も怖くはなかったーー。



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