彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】
第4章 彼女は七海の幸せを心から願っていた
「わかってます。だから、苦しいんです。彼が戻ってきたとして、もしその理由が『子供の犠牲』だったとしたら……彼はきっと、自分を許さない。生きていても、死ぬより辛い思いをさせてしまうかもしれない」
「そうだね。あいつの誠実さは、時に呪いだ」
家入は椅子を回し、窓の外の白み始めた空を見上げた。
「あいつを救いたいという願いも、子供を守りたいという本能も、どっちもの本心だろ。……だったら、どちらかを『捨てる』なんて考え方、あいつは一番嫌がるんじゃないかな」
「………」
「七海なら、きっとこう言うよ。『二人とも、強欲になりなさい』ってね。あいつはクソ真面目だけど、大切な人の幸せに関しては、案外わがままを許してくれる男だよ」
家入は少しだけ口角を上げると、の頭にポンと手を置いた。
「 悩みな。答えが出るまで、私はここでコーヒーを淹れて待っててやるから」
「……硝子さん」
「……ただし、一つだけ忘れないで。どんな結果になっても、が選んだのなら、それは間違った答えじゃない。……それが、友人の一人としての、私の意見だ」
の目から、一筋の涙がこぼれた。
完全な答えは出ない。
けれど、家入の不器用な優しさが、凍りついたの心に少しだけ体温を戻してくれた。