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彼女は七海に幸せになってほしい 【呪術廻戦 七海 R18】

第4章 彼女は七海の幸せを心から願っていた


「貴方が隣にいた時。一度離れ、再び巡り合い、新しい命を育んだ時。彼は確かに、あの悲惨な運命の筋書きを外れて、穏やかな幸福の中にいた。……それは、貴方が対価を払わなければ、この世に存在し得なかった時間だわ」 


脳裏に、残された人たちの言葉が蘇る。



『俺も、ナナミンたちのこの幸せ、絶対守る手伝いするからさ!』


虎杖くんの、真っ直ぐな瞳。


『任務の前、彼は私に言ったんです。「伊地知くん、私はようやく、守りたいもののために戦う理由を見つけました。これは呪術師としてではなく、一人の男としての我儘です」と』


伊地知くんの、震える声。


死そのものは、呪術師という業の中にあったのかもしれない。
けれど、私の介入によって、彼は「孤独な歯車」としてではなく、「愛する人を守る男」として、愛を知ったまま逝くことができたのだ。



(……きっと、無駄じゃなかった。私は、彼に『愛』を贈ることはできたんだ)


そう思えた瞬間、心の奥底で凍りついていた何かが、静かに溶け出した。
けれど、私はまだ諦めきれない。
左手の薬指の銀の重みを思い出して。



「……侑子さん。なぜ、私は今、ここに呼ばれたんですか?」



記憶を取り戻すだけなら、これほど明確な『店』の形をとる必要はない。
侑子さんは意味深に口角を上げた。


「ここは、願いを叶える場所。そして、貴方はまだ……すべてを失ったわけではないわ。いいえ、まだ『繋がって』いるのよ。貴方の中の、小さな鼓動と……そして、彼が最期に残した願いとね」


侑子さんの視線が、のお腹に向けられる。



「さあ、考えなさい。その記憶と、その絆が、今この瞬間に何のためにあるのかを」




「……彼を、返して….…生き返らせてほしいっ…」



絞り出すような私の声に、侑子さんはキセルをくゆらせたまま、静かに目を細めた。




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